ハッピーエンドにたどりつくまで
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翌日。
今日はイッキ様が見知らぬ女性に店で言い寄られる日。
FCの子達はその子達を睨むことになり、本編では描かれていなかったが、もしかするとちょっとした嫌がらせくらいはするかもしれない。
特に最近不満が溜まってきている、彼女達なら。
「ひと肌脱がないとかな……」
私は早々に用意を済ませ、冥土の羊に向かった。
「……」
店の前で一旦止まる。
”リカ”が入ってしまえば、その場で嫌がらせ開始、ということにはならないだろうか。
それなら、出てきたところを待ち伏せていた方がいいかもしれない。
「ん〜……」
辺りを見回し、近くのレストランで昼食をとる。
そのあとにデザートを頼みつつ、女性客とFCの子達が出てくるのを待った。
何もないなら、何もないのが一番いい。
が、そうも行かず。
「!」
女性客の後ろから数名のFCの子達が出てくる。
少し距離を取っているが、睨みをきかせていることから、尾けようとしていることは明らか。
彼女達が裏道にでも入ろうものなら、どんな喧嘩が起こるか……。
私はお会計をして店を出て、FCの子達に後ろから声をかける。
「皆さん、何をされていますの?」
「!」
「リカさん……」
彼女達はハッとして振り返り、事の顛末を私に報告する。
「そのようなことが……」
私が同意してくれると思ったのか、少し顔を明るくするFC会員達。
でも彼女達は、下位会員。上位会員は関わっていないようだ。
「だからと言って、尾行は感心しませんわね」
「!」
「で、でもぉ……」
「あの方々はきっと、お家に帰られたらイッキ様のことをお忘れになりますわ」
「え?」
「ですけれど、あなた達はそんなことはありませんわよね?」
「もちろんです!」
「イッキを忘れるなんて……!」
「でしたら、一時的にしかイッキ様を想わない方々のことは放っておいて、イッキ様が出ていらっしゃるのをお待ちになられてはいかが?今日はあなた達も出待ちできる日でしょう」
「!は、はい」
「もちろん、お店にご迷惑をおかけするのは良くありませんから、皆さんはあのような方々と同じことはなさらないでくださいませね」
「はい!」
会員達はまた店へと戻っていく。
もうすぐイッキ様が上がりの時間。
今日はFCに付き合ってくださると言っていたから、彼女と待ち合わせもなく、私の出番は終わり。
「ふぅ……」
「あんたも大変っすね」
「!?」
驚いて後ろを振り向くと、そこにはシンが立っていた。
「……ごきげんよう、シン様」
「どうも」
「わたくしはこれで失礼いたしますわ。……イッキ様にはあまりお伝えしないでくださいませね」
私は一礼して、早々に立ち去った。
イッキ様にリカ姉様の印象を良く受け取られると、ハッピーエンドの最後に控えている断罪イベントに影響が出るかもしれない。
あそこだけリカが逃れていては、トップに立つ者として認められず、その後またFCに似た組織ができてしまう可能性が高い。
そうなったら、もう”リカ”であろうと手をつけられなくなってしまう。
「はぁぁぁ……」
家に帰り着き、大きめのため息が出る。
お風呂に入ろうと荷物を下ろしたところで、また日報未提出のメール。
最近はこのメールも憂鬱になってきた。
リカ姉様は、こんなメールと常に向き合い続けていたのか……。