ハッピーエンドにたどりつくまで
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翌日。
今更思い出したが、昨日はイッキ様とノアのデートの日で、その待ち合わせにFCの子達が来ていたはず。
その姿をノアに見られて、彼女はオリオンとイッキ様の人間性について話していたような。
「今更思い出してもね……」
今日は2人ともバイトに入っていて、彼女が少しだけ記憶を取り戻して倒れる。
イッキ様は一刻も早く彼女の元へ向かって一緒に帰りたいものの、FCに阻まれてなかなか帰してもらえない。
もどかしく思っているうちに彼女は迷子になり、それを迎えにいく。
というシナリオ。
「FCの子達は日報が出されないことで憤っているはず。それでも、今日は少しでも早くイッキ様をノアの元へ向かわせてあげた方がいい……」
原作では8月いっぱいも使ってハッピーエンドへ向かっているが、早めにイッキ様がノアの記憶喪失に気づけば、もっと優しく接していれば、より早くハッピーエンドを迎え、FCの問題も解決し、リカ姉様の負担も減るかもしれない。
「よし」
私は早速準備をして、イッキ様達が帰る時間帯に冥土の羊近くへ向かった。
「駅までFCの子達を送るなら、このお店の前は確実に通るはずですわ。イッキ様が駅まで送らなくていいようにしなくては」
私は近くのカフェでお茶を飲みながらその時を待つ。
少し遠くから、賑やかな女の子達の声が聞こえてきた。
慌ててお会計を済ませて店を出ると、予想通りに女の子に囲まれたイッキ様が歩いてきた。
「!リカ」
「まあ、イッキ様。偶然ですわ」
「リカさん!」
FCの子達もこちらに気づく。
「皆さん、イッキ様に送っていただきましたの?」
「はい〜!」
「それはよろしいけれど、こちらの駅ではイッキ様のご自宅からどんどん遠ざかっていますわ。この辺りでお別れされてはいかが?」
FCは、会長である”リカ”の意見を無視できない。
「イッキ様も、急ぎの御用がおありのようですし」
ポーカーフェイスが上手い人かと思っていたが、意外と焦りが顔に出てしまっている。
「えっ」
当の本人は隠せていると思っているようだが。
「えぇ〜!?イッキ、このあと何かあるのぉ〜?」
「イッキ様、最近学校の方が忙しくていらっしゃいますものね」
イッキ様が下手なことを言う前に、すかさず口を挟む。
「うん、そうなんだ」
「そっかぁ……」
「それじゃあ仕方ないね……」
「駅まで送るのはまた今度ね」
その一言にFCの子達は急激に顔を明るくする。
だけど、そういう一言を言うせいで、いつまでもFCと関係が切れないのも確かだ。
「やったぁ〜!絶対だよ?」
「今度ねー!」
女の子達は元気に去っていく。
「御用がありますのに、ありがとうございます」
「今日は何だか雰囲気が違うね、リカ」
「……それよりも、早く行かれた方がよろしいのでは?」
「あ、そうだね。ありがとう、リカ」
この胸の奥が熱くなる想いは、私ではなくリカ姉様のものだ。
私はイッキ様に頭を下げ、家に帰った。
その日もメールで日報が届いていないことの報告が来た。
『彼女がイッキ様をご自分のものだと勘違いしないよう計らってください。イッキ様のご迷惑になる過剰な計らいはしないように。』
これでしばらくはいいだろう。
2人の待ち合わせが少し阻害され始める程度。
合宿までに一度、FCの皆を集めて話し合いの場を設けた方がいいかもしれない。