ハッピーエンドにたどりつくまで
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見覚えのないような、あるような部屋で、私は目覚めた。
「あれ?私、死んだはずじゃ……」
確か、車に轢かれて、それで。
「ってそれより、ここは───」
ガバッと布団から起き上がってギョッとする。
およそ私の趣味ではないフリルをあしらった綺麗なネグリジェ。
視界にちらつく、少しウェーブのかかった金髪。
「!?」
慌てて近くにあった鏡台で自分の姿を確認する。
「り、リカ姉様!?」
耳に聞こえる声も、リカ姉様そのものだった。
「……」
これは、俗に言う異世界転生……?
以前漫画で読んだことがある。
自分がプレイしている乙女ゲームや読んでいる少女漫画の悪役に転生してしまう話。
私もリカ姉様に転生できたら面白いのにな、と思っていた。
「……夢か」
私はもう一度布団に入り、目を閉じる。
チッチッと秒針の音だけが響く。
……。
……………。
……………………。
「っ!」
どれだけ目を閉じていても、夢が覚める気配はない。
「もしかして、本当に転生を……?」
ひとまず部屋を漁ることにした。
まず、"私"は本当にリカ姉様なのか。
ここは、AMNESIAの世界なのか。
そして、一番大事なのは、ここは誰ルートで、今が何月何日なのか。
「んー、カバンの中にお財布とか……スケジュール帳とか、ある、かな?」
ゴソゴソと探る。
「……というか、大事なことを忘れていたけど、ここリカ姉様のお部屋ってことよね?」
公式で公開されていない、リカ姉様の自室。
あれ、部屋の作りからして、一人暮らしなんだ……。
「公式設定、あんまりちゃんと覚えてないんだけど、リカ姉様って一人暮らしだったかなあ……」
ブツブツ呟く声も、リカ姉様のお声で再生される。
「あ、あった!」
お財布とスケジュール帳を机上に出して広げてみる。
ついでに携帯も。
「うわ〜、そうだった、発売した年はまだガラケーか」
少し懐かしさすら感じながらカコカコと操作する。
日付は、8月1日。
身分証も、全部リカ姉様のもので間違いない。
そして、引き出しに入ったFC名簿を見る限り、もうこの世界はAMNESIAの世界で確定でいいだろう。
スケジュール帳には、FC会員の誕生日が書き込まれている。
これを見ながら、イッキ様にお声かけして誕生日会を開いていたのか。
「リカ姉様、素敵すぎます……」
心の奥がキュッとなるのを感じながら、私はひとまず支度をして外へ出ることにした。
リカ姉様の服は、一度前世でコスプレ衣装として着たことがある。
少し勝手は違うけれど、概ね同じで安心した。
「今日は特に予定はないのね」
よし、と気合をいれる。
一歩外へ出れば、私はリカ姉様として振舞わなければ。