ハッピーエンドにたどりつくまで
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さて、今日はFC会議。
合宿前に、今後のことを決めておかなくては。
「皆さん、今日はお集まりいただき、ありがとうございます」
と言っても、集まるのは上位会員だけ。
イッキ様とのお付き合いを順番待ちしている方々。
「本日お集まりいただいたのは、他でもありませんわ。イッキ様が現在交際されているあの方についてです」
それからというもの、皆の意見を求めたのがよくなかった。
出てくるのは彼女の悪口と、どう貶めてやるか。
中には過激な意見もあった。
「今度の合宿で肝試しを取り入れてはいかがですか?」
「!」
「暗い森との怖さも相まって、彼女も考えを改めるのでは」
「それって、肝試しに見せかけてあの子を脅すってこと?」
「脅すなんて言い方ないよ。あの子がちょっと調子に乗ってるから、教えてあげるんだよ」
「そうだよ!この間だって、イッキに向かって──」
「皆さん、また議論が前に戻っていますわ」
「あ、すみません……」
「具体的には、どのように肝試しを利用しようと?」
「あの子とFCだけが森に入れるようにして、」
「それ難しくない?イッキに怪しまれちゃう」
「イッキは彼女のことなんてどうでもいいんだから大丈夫だよ」
「とはいえ、イッキ様の彼女であることに変わりはありませんわ。イッキ様に余分なご心労をおかけするわけにはまいりません」
「うぅ……」
「クジに細工をする、というのが最善でしょうね」
「!」
「いいと思います!」
”リカ”の一言は大きい。
「イッキ様には気づかれないよう、慎重に準備を進めてください」
「「「はい!」」」
そうして合宿時の嫌がらせは決定した。
彼女に渡す地図の作成や、クジの作成はその日出待ちをしないFC会員で行う。
原作をただプレイしていた時は、こんな地道な作業工程はなかったけれど、私にとってこれが現実である以上、こういった過程もしっかりと見守らなければならない。
「皆さん、合宿まで残り2日。作成ペースを上げましょう」
「「はい!リカさん!」」
彼女は今頃、イッキさんの心労を癒しているところだろうか。
下手にアタックしていくFC会員の子が多いと情報を得た。
そこで私は今日、サナエさんの告白が終わる頃に、
『イッキ様が一度されたお約束を必ずお守りになる誠実な方であることは皆さんご存知のことと思います。3ヶ月が経っていない今、彼女がルールを冒していようと、イッキ様に告白をなさるのは重大なルール違反です。』
と通達を出した。
これでひとまずは大丈夫なはずだ。
女の子達だって、無駄に特攻して傷つくこともない。
平和に、穏便に。
あとは、ノアが上手く立ち回ってくれていることを祈るばかりだ。
「!」
そんな時、イッキ様からメールがくる。
『合宿の部屋割りなんだけど、ノアは茗荷大学のサワちゃんと同室にしてあげてほしい。』
まあ、FCの動向を心配するなら、そうなるな。
『かしこまりました。また、彼女に合宿のしおりを渡し忘れておりましたので、お手数ですがイッキ様の方からお渡しいただけますか?ご都合よろしい時に伺います』
そう返すと、イッキ様はすぐにメールを返してくる。
相変わらず早い。
『今から会える?今リカの家の近くだから』
『すぐに向かいます』
そう返事して、すぐにFCのアジトを出発する。
アジト、という言い方はあまりよくないかもしれないが。
「イッキ様」
出来るだけ品を損なわないように気をつけながら小走りをする。
「ごめんね、出かけてた?」
「いえ、問題ありませんわ。イッキ様とお会いするよりも大切な用などありませんもの」
微笑みながら鞄の中から合宿のしおりを取り出す。
「こちらがしおりになります。申し訳ありません、わたくしがお渡しし忘れてしまい……」
「いいよ、これくらい。ありがとう」
「よろしくお願いいたします」
「うん。それじゃあね」
私はイッキ様に一礼して、またアジトに戻った。