序章:世界からの脱却
夢小説設定
この小説の夢小説設定日本人とイギリス人のハーフ、という設定ですので、ミドルネーム(名字(日)の部分)が存在します。
名前は日名・英名どちらで設定していただいても構いません。
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目が覚めると、そこは真っ白な空間だった。
人間に捕らえられたのか、はたまたどこかに連れ去られたのか。
状況が飲み込めずにキョロキョロしていると、あの時の声が聞こえてくる。
───汝を、異なる世界へと転送する。
「!?」
───神の力を愛し、崇拝せよ。
「夢じゃ、なかった?」
───これから、汝に、転移のルールを伝える。
神と名乗る相手は、質問には答えず、淡々と言葉を紡ぐ。
───汝はこれより、異世界へ転移する。そうなれば、汝はその世界の異分子となる。
異分子。
───1年。1年乗り越えることができれば、汝の魂はその世界で安定するであろう。
乗り越える?
───1年間、汝には死の運命が降りかかる。見事それを乗り越え、異世界での暮らしを送るが良い。
つまり、乗り越えられなければ死ぬということ。
───この世界に留まるか、異世界へ転移し死の運命に立ち向かうか、改めて考える時間を与える。
「質問は受け付けてもらえる?」
返答はない。
状況はまだ上手く飲み込めないが、このまま世界に留まったところで、どうせ長くない命。
この空間に来てから、先ほどまで衰弱しきっていた自分の身体が力を取り戻しているのがわかる。
この状態で転移できるのなら、行き先が良い世界であるなら、転移をするのがいいに決まっている。
例え悪い世界であるのだとしても、少なくとも現状を変えるには転移するしかない。
「行きます」
少しの間をおいて、また声が聞こえ始める。
───では、転移を始める。選択肢を授ける。商人、武士、姫。選べ。
姫と武士は命の危険に晒される可能性が大きい。
それなら、私の選ぶべき選択肢は。
「商人!」
───受理する。では、良い人生を。
眩い光が私を包み、やがて何も見えなくなる。
足元もおぼつかなくなり、どこかを飛んでいるような感覚を覚える。
徐々に視界が暗くなっていき、上昇していたように感じられた身体は、次第に落下していく。
体勢を変えようにも、身体が上手く動かせない。
私はもう、私を動かすその力に、身を委ねることにした。