第三章:変わりゆくもの
夢小説設定
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鎮静剤は、結局のところ、千鶴の血ほどはやはり効かず、その時の吸血衝動を宥め、数日後に引き延ばすだけだった。
「まあこんなもんだな。結局のところ、血を吸わなければ衰えていくのは羅刹も吸血鬼も同じか」
「吸血鬼も?」
「言ってなかったか?私達吸血鬼は、一定期間血を吸わずに過ごしていると、徐々に身体が衰え、最終的には灰になって消える」
「!?」
「大丈夫だ、そんな顔するな原田。まだ猶予はある。この間あんたに血をもらったばかりだろう?」
「……そうだな」
「で、羅刹も同じかはわからないが、血を欲している以上、まあそういうことだと見ていいだろう」
それから山南とも話をした。
伊藤甲子太郎には死んだことにしてあるため、山南は小屋で過ごす時間が増えた。
出歩けるのは夜くらい。
それ以外は私以上に羅刹の研究に没頭していた。
私の作った拙い鎮静剤から、より強力なものを作れないかとか。
「何か、あんたの手助けになるものが一つでもあればいいが」
結局のところ、私はこの新選組で居場所を確立できた。
今までは外部から来た、謎の研究員くらいの立場だと思っていたが、先日の一件で、私は仲間と認められたことが判明した。
ということは、私は今この業務から離れても、また新たに何か業務を命じられるに違いない。
「まあ、ここは女はいないと聞いていましたが」
「……ああ、あんたが伊東甲子太郎か」
「あんた、ですって!?」
「ヒステリックだな。私はエレノア。エリィと気軽に読んでくれ」
「ひす……?まあ、よくわかりませんけど、あなたはここで何をしているの?」
「何、と言われてもなあ。強いからここにいるんだが」
ぴくり、と伊東の額が動く。
「っは、強いですって?あなた、女のくせによく言うわね」
「女だから弱い、というのは偏見だな。考え方を改めさせてやろうか?」
私は近くに立てかけてあった箒を取る。
「あっははは、面白いわね」
伊東は刀を抜き、峰を下に向ける。
「痛い目に合わせてあげるわ」
そう言って踏み込んできた伊東。
だが、最終的には地面にへたり込み、私は箒の柄の部分を伊東の首に当てていた。
「!」
「わかった?」
「ふ、ふん!まあ、ここにいるということは、この程度はできて当たり前ね!」
伊東はよくわからない捨て台詞を吐いて、行ってしまった。
あんたは、私に今負けたんだけどな……。