第三章:変わりゆくもの
夢小説設定
この小説の夢小説設定日本人とイギリス人のハーフ、という設定ですので、ミドルネーム(名字(日)の部分)が存在します。
名前は日名・英名どちらで設定していただいても構いません。
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結局、あれから何の進展もない。
被験体は見つからないし、私は病気にならないし。
「はあ……」
せめてあの鬼どもが攻めてきてくれたら、その血を使ってまた新しい実験ができるかもしれないのに。
一応、血液をもらうための瓶も作った。
そんなことを考えていた日の夜。
屯所の門で大きな音がした。
「!」
この気配、鬼だ!
私の心は歓喜に震え、隊士が分けてくれた刀を持って、駆けていった。
「千鶴?」
金髪の男の手には千鶴。
後の2人も周りを牽制していて、その周りを土方達が囲っている。
「!」
私が駆けつけると、鬼は一斉にこちらを向く。
「貴様か、池田屋の時の面妖な気配は」
「ふーん、そっちも気配がわかるのか」
「エリィ!?」
グッと踏み込み、攻め込む途中で刀を抜く。
「!」
キン!という金属音が鳴る。
「っは、女片手に抱えて、よくもまあッ!」
「っく、」
「風間!」
「何ともない!」
「なるほどね、はっ!」
千鶴がいることもお構いなしに斬りかかる。
「貴様、!」
「あんたは千鶴が欲しくて、傷つけたくない。それなら私が千鶴のことを気にしなくても、あんたが勝手に庇うだろ!」
「正気かこの女!?」
「こんなところまでわざわざ乗り込んできたあんたもな!!」
「エリィ!突っ込みすぎだ!」
「あんたらは他の二匹を押さえときなッ!」
土方の制止も聞かず、私は風間に斬りかかる。
腕くらいもらえたら万々歳だが、指でもいいな。
「邪魔なら、千鶴のことは諦めたら?」
「!」
「っと、あはは、怒った?」
「ん……。!」
私と風間の間に少し間ができた時、千鶴が目を覚ました。
「え!?」
「あ、目を覚ましたね千鶴。そいつから早く離れた方がいい、食べられちゃうよ」
「貴様、鬼は紛い物のように血を食すことはない!」
「知ってるけ、ど、ねッ!」
斬りかかられて少しバランスを崩した隙に、千鶴が風間の腕から逃れる。
「!」
「よそ見してんなよ風間ァ!」
「くっ!」
「はあッ!」
打撃を受けて、風間が体勢を崩す。
「ああ、名乗り忘れていたな、私はエレノア。気軽にエリィと呼んでくれよ」
鋒を風間の首に向ける。
「貴様……」
「なに、殺しはしない。ちょっと失礼」
スッと細く風間の首に切り傷をつける。
傷口から流れる血を刀に乗せ、私は瓶に流し込んだ。
「どうもな」
傷はもう塞がっている。さすが鬼といったところか。
「は?」
私は刀を収める。
「もう用はない。そろそろ日も昇る。今日のところは帰った方がいいんじゃないのか?しつこい男は嫌われるぞ」
チラリと千鶴を見ながら言う。
「千鶴は新選組にいたいんだもんな?」
「!は、はい!」
「ってことだ」
風間は顔をしかめ、興が冷めた、と帰っていった。
「ふぅ、」
「ふぅ、じゃねえこの阿呆!!」
「うっ」
頭に鈍い痛み。
土方が私の頭に拳骨を落としていた。
「向う見ずに突っ込んでいきやがって!何やってんだお前は!!」
「え、えっ?なんでそんなに怒ってるんだ!?」
「お前は謹慎処分だ!しばらく部屋にすっこんで頭冷やしてろ!!」
「え!?そんな、」
誰も何も言ってくれず、私は問答無用で部屋に連行された。