第二章:新撰組での暮らし
夢小説設定
この小説の夢小説設定日本人とイギリス人のハーフ、という設定ですので、ミドルネーム(名字(日)の部分)が存在します。
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それから数日、私は変若水を懐に忍ばせて、心当たりのある診療所を回った。
もう手の施しようがない患者がいないかを確認していたのだ。
きちんと書面に承諾を得てから実験をすればまあそんなに大きな問題にはならないだろう。
寿命尽きかけの人間に試せば、羅刹になったところで生きれる日数はたかが知れている。
「どうも」
「おや、いらっしゃい。どこか悪いのかい?」
「いえ、違います。私は薬を扱っている者なのですが、誰か薬を使ってくださりそうな患者はいませんか?」
「薬……?どのような患者をお探しで?」
「手の施しようがない患者、ですね。あと、もう長くなくて孤独で生きることを諦めてる患者ですとなお良いです」
「……」
どんどん眉間の皺が濃くなる。
「ご安心を、強引に飲ませようという気はありません。ただ、傷が短時間で治る薬を病に使いたいのです」
「短時間で傷が……?」
「ええ。一般には出回ってない代物ですが。例えば……」
私は近くの刃物で腕を切ってみせる。
「何を!」
「血を拭き取ってみてください」
「!」
言われた通りに医者が布で拭き取ると、そこにはあったはずの傷はもうなかった。
まあこれは、薬を飲んだからではないが。
「私は自身で薬を服用し、体質そのものが変化しました」
「なんと……!」
「薬の作成方法等は公開できませんが、患者を紹介していただけませんか?」
「そうだな……、力になりたいところだが、条件に合いそうな患者はいないよ」
「そうですか……。私が病にかかるのが手っ取り早くていいんですけど」
「病を治す方法はあっても、病になる方法はなあ」
「ですよね。ありがとうございます、失礼します」
「ああ……」
京の都にある診療所はここが最後だ。
やはりそう簡単に被験体は見つからないな。
沖田が変な考えをし始める前に確かめておきたかったんだが。
「もう病にかかってる奴らを片っ端から当たった方が良いか……?」
「エリィ?」
「ああ、永倉。巡察か?」
「ああ。お前は何してるんだ?」
「ちょっとな。例のお水の確かめを」
「例の……、ああ、あれか。何か進展はあったのか?」
「ないな。確かめたいことも結局確かめられなかったし」
「確かめたいこと?」
「まあ、そう上手くはいかないってことだな」
「煮詰まってんなあ。一緒に巡察くるか?あと少しだしな」
「……そうだな」
それから私は永倉について行き、少し気分転換をして帰った。