第二章:新撰組での暮らし
夢小説設定
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吸血衝動が収まった頃に隊士達が帰ってきて、また血の匂いにあてられて込み上げてくるものがあったが、一旦外へ出て行ってどうにか乗り越えた。
「調子はどうだ?」
「原田。私は何ともない。あんたこそ、怪我してないか?」
「ああ、俺も大丈夫だ」
怪我をしたらしい藤堂と沖田は石田散薬とかいうのを飲んでるようだ。
何にでも効くそうだ。
「で結局あそこにいた3人組は”鬼”だったと」
「ああ」
「千鶴も鬼ってことだな」
「エリィは知ってたのか?」
「いや、鬼ってのは聞いたことないが、あの3人と千鶴の気配は同じだったからな」
「気配、か」
「羅刹が吸血鬼と似てるって気づいたのも気配だ。吸血鬼は人と同胞の気配を見分けるからな、その延長だ」
「なるほどな」
鬼、か。
吸血衝動がない分、私達よりも生きやすいだろう。
「鬼の血か、気になるな」
「!」
「っは、そんな顔するな。千鶴を傷つけたりしないよ」
「それもだが、危ないことはするなよ」
「危ないこと?私はそんなか弱い人間じゃないからな。原田の言う危ないことはするかもしれないな」
「エリィ……」
こいつはまだ私をか弱い人間の乙女だとでも思っているのか。
「沖田と藤堂の様子でも見に行くか」
「……ああ」
まだ少し暗い顔をしている原田を連れて、私は2人に会いに行く。
「おう、元気か?」
「君って時々目が見えてない時があるよね」
「憎まれ口叩けるなら元気だな、沖田」
「悪いな、心配かけちまって」
「藤堂、包帯はまだ取れないって?」
「ああ。けどもう何ともねえよ!」
「そうか。なら良かった」
この世界は、生活水準こそ高いものの、その割に医療が発達していない。
元の世界にあった手術や点滴がない。まああれらは貴族しか受けられない処置だったが。
「医者にかかれるのは良いことだな」
「お前は医者に診てもらったことないのか?」
「医者は金がかかるからなあ。日々の食事に困ってたような吸血鬼には夢のまた夢だ」
「その、何つーか、大変だったんだな」
「ははは、そんな顔するな。大したことじゃない。私がいたところはそんな奴らで溢れてたからな」
「……」
「さて!私はそろそろ失礼する。怪我人は安静にしてろよ」
「ありがとな」
「ああ、またな」
沖田はもうだいぶ弱ってるな。
憎まれ口を叩いてはいるが、もう長くはないか。
もしこれから先、あいつがもっと生きたいと願ったら。
もしかすると変若水を口にしようとするかもしれない。
だが、吸血鬼も病気になるのと同じで、変若水を飲んだところで病を克服できる可能性は限りなく低い。
傷は早く治せても、病魔には対処できない。
「効果を確かめておく必要があるな……」
でも、病に効くかどうかなんて、どう確かめれば……。
「エリィ?」
「なんでもない、こっちの話だ」
この辺りの医者にあたってみよう。