第二章:新撰組での暮らし
夢小説設定
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あれから数日が経った。
相変わらず羅刹の研究は進展がないし、原田とは距離ができていた。
そんな頃に新選組内が慌ただしくなり始めた。
「……」
ものものしい雰囲気で会議をする彼らを見た時は、いよいよ私も面倒ごとに巻き込まれる時が来たかと悟った。
案の定その勘は当たって、何やら攘夷志士の企みを阻止する動きを始めようとしているようだった。
「それじゃあ、俺たちは───」
作戦決行は夜。私は屯所で留守番だし、特に関係はない。
そう思って横になっていたけれど、彼らが出てしばらく、千鶴まで出て行くことになった。
二手に分かれて行った片方がハズレだったことがわかったのだ。
その知らせに、千鶴が向かうことになった。
「千鶴!」
「エリィさん!すみません、今急いでいて、」
「私も行く。山南には許可取ってきたから。山崎と一緒に行くにしても、途中で何があるかわからないし」
「!ありがとうございます!」
「行くぞ!」
それから千鶴と一緒に四国屋へ行き、途中で山崎とは別れて、土方たちを連れて池田屋へ。
その道中は特に何ともなかったけど、いざ池田屋の近くに来たら、もう乱闘になっていた。
「危な───!」
池田屋の中に千鶴と同じ気配が三つ。
ゴクリ、と喉が鳴る。
「っ!」
中へ入って行った千鶴を見て、頬を叩く。
本能に負けるな。
私は怪我をした隊士を介抱すべく、裏口に回った。
「エリィ!?何でここに、」
「原田!説明は後だ、怪我人は?」
気が狂いそうになるほどの、血の匂い。
ただ人間が群がってるだけならまだしも、血の匂いはキツイ。
「っ……」
毛先が白いのが自分でも見えた。
もしかすると、目も赤く濁っているかもしれない。
借りてきた木刀で刀を防ぎつつ、怪我人を連れて池田屋から離れる。
片手に木刀があるから、担げるのは二人が限界。背中にもう一人乗せて三人だ。
背が足りないから担いでる二人は足引きずってるけど。
「……」
大の男を三人抱えた私を見て、原田が唖然としている。
「早く離れよう。上の奴らが降りてきたら厄介だ」
「上?」
チラリと上の様子を伺うと、金色の髪が月明かりで輝いていた。
そして一つの気配が、今。
「原田、上!」
二階から飛び降りてきた男は、銃を持っていた。
「エリィ!」
原田はすぐさま私の前に出て、男から私を庇った。
今私は三人抱えた状態だから、銃に対処するのは難しい。
「先に行け!」
「……また後で」
逃げる私を、男は撃たなかった。
「……女は撃たないとか言うタイプだな、あれは」
私はそういうタイプの男だったことに感謝しながら、屯所へ急いだ。
「怪我人だ!!」
屯所に着くなり大声で叫ぶ。
中から山南と待機していた数名が飛び出してきて、私から怪我人を受け取って行った。
「他の方達はどうしたんです?」
「まだ残党を追ってる。厄介な奴らもいたしな。……私はちょっと、血を嗅ぎすぎた。離れに行くから、何かあったら呼んでくれ」
「わかりました」
行きすがらで肌に付いた血を洗い流し、私は羅刹が隔離されている離れに向かった。
ここは屯所から離れているから、音も聞こえないし、多少地団駄を踏んでもバレない。
「っあぁ……!!」
ままならない体だ。
必要なだけの血はもう得たはずなのに、もっと、もっとと欲しがる。
「くっ!」
床を殴り、足を叩き、自分の腕を噛む。
「ふーっ……」
腕には血が滲み、頭痛がしてくる。
ぶわっと髪が白く染まるのがわかった。
「……」
理性は正常に働いている。
まだ、大丈夫。