第1章
夢小説設定
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出勤日の前日。
デザイン案から材料を調べ、購入も済ませている。
あとは、プロの意見を聞く。
「お呼びでしょうか、お嬢様」
「ええ、これを見てもらえるかしら」
それから2,3時間程シェフと話し合う。
これは違う材料がいいとか、この調理法にした方がいいとか、やはりプロに聞かなければわからないことがある。
そして、ついに迎えた出勤日。
「ケントさん、こちらが私が考えた案になります」
「拝見しよう」
「知人のシェフにも意見をもらいましたので、材料や調理方法、単価に関しては問題ないかと」
「それは頼もしい限りだな」
じっくりと見たケントさんは、それをそのまま店長の元へ持っていく。
店長もそれを見ると、ケントさんと顔を合わせて頷く。
「次のイベントの限定メニューはこれにしましょう」
「えっ」
「素晴らしいアイデアだ、マコ」
「おっ、マコの案採用されたのか?」
「すごいね、マコちゃん。料理人の才能あるんじゃない?」
一瞬驚いていて余裕がなくなっていたけれど、すぐ真後ろにイッキ先輩がいるとわかり、思わず飛びのく。
「あっ……すみません。えっと、驚いてしまって」
「あはは、いいよ」
イッキ先輩は笑っていたけれど、やはり気分がいいものではないだろう。
少し、悲しそうな笑みだった。
「ええと、本当に私の案でよろしいのですか?私の、というより知人の案ですが」
「だが、これはマコのアイデアが元になり、その知人により良くしてもらったのだろう?そして、君もその知人と一緒に考えたのでは?」
「それは、そうですが……」
「それならば、君の案といっても構わないだろう。どうしても気になるのなら、2人の合作ということにすればいい」
「……はい」
完璧なものを、と考えるあまり、シェフに頼ってしまったことは、良くない気がしていた。
そうしてプロの手が加われば、もはやそれは私の作品ではないような気がしていたから。
シェフの彼も、それを懸念していたのか、元の案からそこまで大きく変わらないように色々と考えてくれた。
私はそれに気づいていたから、尚更自分だけの作品だとは言いにくかった。
ケントさんも、そんな空気を感じていたのかもしれない。
「そしてその案を、私も店長も素晴らしいと思った。だから君さえよければ、メニューに加えさせてほしい」
「ありがとうございます。皆さんが納得してくださったのなら、ぜひ」
そうして私の案が、メニューとして出されることになった。