第1章
夢小説設定
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「皆さん、今日からキッチンに入っていただく、マコさんです」
「マコです。よろしくお願い致します」
「マコさん、こちらはキッチン担当の一人の、ケント君です」
「よろしく頼む」
「今日はいませんが、もう一人、キッチン担当のシン君がいます。何かあれば、彼らに尋ねてください。ケント君、よろしくお願いしますね」
「承知しています」
「盛り付けなどであれば、トーマ君やイッキ君もわかりますから、そちらに尋ねてもいいですよ」
たくさんの説明を受け、それから一人一人、ひとまず今日シフトが入っている人達の自己紹介を受ける。
そして、私も改めて自己紹介をした。
開店準備が始まると、ケントさんがまず設備・料理のラインナップ・特殊なメニューについて説明してくれた。
「ざっとこのようなところか。何か不明な点はないか?」
「いえ、今のところは大丈夫です」
「そうか。また作業をしながらわからないことがあれば、いつでも聞いてくれ」
「はい、ありがとうございます」
それから開店するまで、受けた説明を反芻する。
フライパンはここ、食器はあっち、下げられてきた食器は──
「マコ」
「!はい。……って、トーマ君か。びっくりした」
「ごめんごめん、大丈夫かなって様子見に来た」
「ええ。ケントさん、丁寧に説明してくださって、わかりやすかったから、大丈夫よ」
「なら良かった。俺もサポートするから、何かあったら言えよ」
「ありがとう」
それからまた反芻していると、今度は女の子の声がする。
「あの、」
「はい。ああ、カナさん。何かしら?」
「何かあれば、私にも言ってくださいね。その、トーマから同じ大学だって聞いて、勝手に親近感が湧いてしまって……。私、」
「……もしかして、トーマ君の幼馴染みさんかしら?」
「えっ、どうしてそれを……?」
「トーマ君がよく話しているから」
トーマ君がよく話題に出す、幼馴染みの女の子がいる。
おそらく彼は、その幼馴染みが好きなんだろうなと感じていた。
本人からきちんと聞いたことはないけれど、多分当たっている。
会うのは初めてだけれど、トーマ君はこういう子が好きなのね、と思った。
「トーマが……」
カナさんは少し頬を赤らめる。
あら?
これは、両想いね。
でも、トーマ君の話によると、そんな風なことは読み取れなかった。
ずっといい兄でいないと、嫌われたくないっていつもぼやいているし。
「これは……」
「え?」
「いいえ、なんでもないわ」
「じゃあ、私もう行きますね!」
「ええ、ありがとう」
聞いたことがある。
これは、両片想いだ。
だが、ここで私が口を挟むのも無粋だろう。
この2人がすれ違って、互いの気持ちに気づかず離れようとした時は、少し手助けするくらいのことはできるかもしれないけれど。
このバイト先は、本当に良い人ばかりだなあと噛み締めながら、私は仕事に戻った。