最終章
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部屋に着くと、また先程のように抱きしめられ、今度はキスもされる。
「!!!」
久しぶりすぎて、驚きすぎて、思わず後ろに転んでしまう。
「いたっ……」
「大丈夫!?」
イッキ先輩が焦った様子で私を起こしてくれる。
「ごめんね、焦りすぎた」
「い、いえ……」
「君は、まだキスに慣れてないんだ」
「あ、当たり前です……!イッキ先輩以外とはしたことありませんし……」
「……そっか、……そっかぁ」
イッキ先輩は嬉しそうに笑って、またキスをしてくる。
何でもないことのようにしているのが、羨ましい。
「とりあえず靴脱いで上がって。久しぶりだったから、抑えきかなくてごめんね」
「は、はい……」
ようやく靴を脱いで部屋に上がらせてもらう。
お茶を飲む前にまず話、と言うようにイッキ先輩は座った。
私もそれにならって正面に座る。
「何も聞かずに抱きしめたりしちゃったけど、マコちゃんがここに来てくれたってことは、その…………あー、ダメだな僕。こんなに緊張するの生まれて初めてかも」
「イッキ先輩……」
イッキ先輩も緊張しているのだと思うと、少しだけ気持ちが軽くなった。
「私は、イッキ先輩のことが好きです。留学していた間も、1日だってイッキ先輩のことを忘れたことはありませんでした」
イッキ先輩の目を真っ直ぐ見つめる。
どんな答えでも、私は泣いたりしないぞと、覚悟を決めて。
「……イッキ先輩は、その……現在お付き合いをされているような方は……」
「……良かった。振られたらどうなってたかわからないな……。僕もずっと君のことだけを好きだったよ。君と別れてから、誰とも付き合ってない」
「……!」
「まあ、さっき散々抱きしめたりキスしたりしちゃったし、それでわかってると思うけどね」
あ……確かに……。
それもわからなくなるほど、冷静ではなかったということか……。
少しうるっときた涙も、自分がいかに冷静さをかいていたか自覚したら、なんだか引っ込んでしまった。
「……連絡も取れないし、この1年、何の拷問かと思ってたよ。ケンやトーマから君の話聞いたりして、ちょっと悔しかったし」
「……すみません……」
「こうして僕のところに来てくれたし、もういいよ」
イッキ先輩はそう言って笑ってくれたけれど、少し、罪悪感がある。
「……ひとつ、何でもお願い聞きます」
「えっ」
「別れようって提案したのも、連絡先消そうって提案したのも私です。それで、その……イッキ先輩に嫌な思いをさせてしまったなら、何かさせてください」
「……いいの?」
「はい!あの……私にできることであれば……。欲しいものがあれば買いますし、してほしいことがあればします!」
イッキ先輩は、うーん、と考え込む。
ドキドキしながら返事を待っていると、イッキ先輩は思いついた、と目を開けた。
「君からキスしてほしいな」
「……っ!?えっ、キス、ですか……?」
「僕からしかしたことないでしょう。だから、君からキスしてほしいなって」
「き、キス……」
抱きしめ合うだけでも精一杯なのに、き、キスは……ハードルが……。
「無理そうなら、いいけど」
少し肩を落とすイッキ先輩。
「で、できます!」
「そう?」
キスなんて自分からしたことないし、どうしたらいいかわからない。
でもそれ以上に、イッキ先輩が肩を落としている姿に耐えられない自分がいる。
「め、目を、閉じてください」
「ん」
イッキ先輩が目を閉じる。
相変わらずまつ毛が長いなとか、お肌綺麗だなとか、そんなことを思いながら、心臓がずっとバクバクしている。
私はどのタイミングで目を閉じたらいいのだろうとか、どういう角度でキスしたらいいのかとか、戸惑いが溢れる。
わからないけれど、とにかく、イッキ先輩がしてくださるみたいに。
そう思いきって、顔を近づけた。
「っ!」
ガチッと歯が当たる音がして、少し鈍い痛みがあった。
「す、すみません……!」
緊張しすぎて、歯が当たってしまったらしい。
「ふ……」
ご期待に添えなかった……と気落ちしていると、イッキ先輩は笑いだしてしまった。
「あははっ……ふ、君、ほんとに……あはは」
「わ、笑わないでください……!」
「ごめ、ごめん……くっ……あは、君は思った通りの子だな……ふふ」
「……バカにしてます……?」
むーっと膨れていると、イッキ先輩は笑いながら頭を撫でてくれる。
「してないよ……あはは」
「もう……!」
イッキ先輩はひとしきり笑ったあと、私にキスをしてくれた。
「っ!」
「こうするんだよ」
「わ、わかりません……」
「じゃあもう一回」
また、キスされる。
イッキ先輩は少し意地悪な笑みを浮かべて、もう一度キスをした。
「これから何回もキスしよう。……そしていつか、君からまたキスしてね」
「……今度は、完璧にしてみせます……!」
「期待してるよ」
最後にまたキスをされる。
「これからは、ずっと一緒だよ」
イッキ先輩の優しい笑顔。
抱きしめられた時の温もり。
キスの感触。
ようやく私は、大好きな人の元に戻ってこれたのだと。
これからずっと一緒にいられるのだと。
そう実感した。
「はい。ずっと、一緒です……!」
〜終〜
「!!!」
久しぶりすぎて、驚きすぎて、思わず後ろに転んでしまう。
「いたっ……」
「大丈夫!?」
イッキ先輩が焦った様子で私を起こしてくれる。
「ごめんね、焦りすぎた」
「い、いえ……」
「君は、まだキスに慣れてないんだ」
「あ、当たり前です……!イッキ先輩以外とはしたことありませんし……」
「……そっか、……そっかぁ」
イッキ先輩は嬉しそうに笑って、またキスをしてくる。
何でもないことのようにしているのが、羨ましい。
「とりあえず靴脱いで上がって。久しぶりだったから、抑えきかなくてごめんね」
「は、はい……」
ようやく靴を脱いで部屋に上がらせてもらう。
お茶を飲む前にまず話、と言うようにイッキ先輩は座った。
私もそれにならって正面に座る。
「何も聞かずに抱きしめたりしちゃったけど、マコちゃんがここに来てくれたってことは、その…………あー、ダメだな僕。こんなに緊張するの生まれて初めてかも」
「イッキ先輩……」
イッキ先輩も緊張しているのだと思うと、少しだけ気持ちが軽くなった。
「私は、イッキ先輩のことが好きです。留学していた間も、1日だってイッキ先輩のことを忘れたことはありませんでした」
イッキ先輩の目を真っ直ぐ見つめる。
どんな答えでも、私は泣いたりしないぞと、覚悟を決めて。
「……イッキ先輩は、その……現在お付き合いをされているような方は……」
「……良かった。振られたらどうなってたかわからないな……。僕もずっと君のことだけを好きだったよ。君と別れてから、誰とも付き合ってない」
「……!」
「まあ、さっき散々抱きしめたりキスしたりしちゃったし、それでわかってると思うけどね」
あ……確かに……。
それもわからなくなるほど、冷静ではなかったということか……。
少しうるっときた涙も、自分がいかに冷静さをかいていたか自覚したら、なんだか引っ込んでしまった。
「……連絡も取れないし、この1年、何の拷問かと思ってたよ。ケンやトーマから君の話聞いたりして、ちょっと悔しかったし」
「……すみません……」
「こうして僕のところに来てくれたし、もういいよ」
イッキ先輩はそう言って笑ってくれたけれど、少し、罪悪感がある。
「……ひとつ、何でもお願い聞きます」
「えっ」
「別れようって提案したのも、連絡先消そうって提案したのも私です。それで、その……イッキ先輩に嫌な思いをさせてしまったなら、何かさせてください」
「……いいの?」
「はい!あの……私にできることであれば……。欲しいものがあれば買いますし、してほしいことがあればします!」
イッキ先輩は、うーん、と考え込む。
ドキドキしながら返事を待っていると、イッキ先輩は思いついた、と目を開けた。
「君からキスしてほしいな」
「……っ!?えっ、キス、ですか……?」
「僕からしかしたことないでしょう。だから、君からキスしてほしいなって」
「き、キス……」
抱きしめ合うだけでも精一杯なのに、き、キスは……ハードルが……。
「無理そうなら、いいけど」
少し肩を落とすイッキ先輩。
「で、できます!」
「そう?」
キスなんて自分からしたことないし、どうしたらいいかわからない。
でもそれ以上に、イッキ先輩が肩を落としている姿に耐えられない自分がいる。
「め、目を、閉じてください」
「ん」
イッキ先輩が目を閉じる。
相変わらずまつ毛が長いなとか、お肌綺麗だなとか、そんなことを思いながら、心臓がずっとバクバクしている。
私はどのタイミングで目を閉じたらいいのだろうとか、どういう角度でキスしたらいいのかとか、戸惑いが溢れる。
わからないけれど、とにかく、イッキ先輩がしてくださるみたいに。
そう思いきって、顔を近づけた。
「っ!」
ガチッと歯が当たる音がして、少し鈍い痛みがあった。
「す、すみません……!」
緊張しすぎて、歯が当たってしまったらしい。
「ふ……」
ご期待に添えなかった……と気落ちしていると、イッキ先輩は笑いだしてしまった。
「あははっ……ふ、君、ほんとに……あはは」
「わ、笑わないでください……!」
「ごめ、ごめん……くっ……あは、君は思った通りの子だな……ふふ」
「……バカにしてます……?」
むーっと膨れていると、イッキ先輩は笑いながら頭を撫でてくれる。
「してないよ……あはは」
「もう……!」
イッキ先輩はひとしきり笑ったあと、私にキスをしてくれた。
「っ!」
「こうするんだよ」
「わ、わかりません……」
「じゃあもう一回」
また、キスされる。
イッキ先輩は少し意地悪な笑みを浮かべて、もう一度キスをした。
「これから何回もキスしよう。……そしていつか、君からまたキスしてね」
「……今度は、完璧にしてみせます……!」
「期待してるよ」
最後にまたキスをされる。
「これからは、ずっと一緒だよ」
イッキ先輩の優しい笑顔。
抱きしめられた時の温もり。
キスの感触。
ようやく私は、大好きな人の元に戻ってこれたのだと。
これからずっと一緒にいられるのだと。
そう実感した。
「はい。ずっと、一緒です……!」
〜終〜