第3章
夢小説設定
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お付き合いが始まった、翌日。
イッキ先輩は、昨夜送ってくれたところまで、迎えに来てくれていた。
「イッキ先輩!」
「おはよう、マコちゃん」
「おはようございます。すみません、お待たせしてしまって」
「ううん、僕も今来たところだから」
たぶん嘘。
さっき、家からチラッと見たときに、もう来ていたから。
「わざわざ迎えに来ていただかなくても大丈夫ですよ?」
「気にしないで。僕がマコちゃんと一緒に行きたいだけだから」
「……それでしたら、私にイッキ先輩を迎えに行かせてください」
「え?」
「私ばかり迎えに来ていただくのは、不公平ですから。私にも迎えに行かせてください」
イッキ先輩の言葉に、つい嬉しくなってしまう。
けれど、しっかりしなくては。
「でも……」
「お願いします。イッキ先輩のお気持ちも嬉しいですが、もしよろしければ私の気持ちも、汲み取っていただけませんか?お時間はイッキ先輩に合わせます」
イッキ先輩は少し考えて、「そう言われると断れないな」と言ってくれた。
ただし、条件は交互に迎えに行くこと。
だから、次は私が迎えに行き、その次はイッキ先輩が迎えにくるということ。
「ありがとうございます。では、次のシフトの時は、私がお迎えにあがりますね。明後日でしたよね?」
「うん。楽しみにしてるね」
そういう、2人のルールをいくつか決めた。
迎えは交互、ただし送りは遅い時間の場合は必ず私が送られること。
FCの子達が店先で待機している時は、バラバラにお店を出て指定の場所で落ち合うこと。
バイトのシフトは2人で合わせること。
2人とも休日の日は、お互いに希望を言ってから予定を組むこと。
まあ、おそらくほとんどは一般的な男女交際と違いないだろう。
しかし、こう言ったルールを明確に決めておこうと提案したことで、イッキ先輩のFCへの意識がわかった。
恋人に嫌がらせをしていることに気づきつつも、振り払えずにいる、ということ。
おそらく、自身の『目』の被害者だからと、そこまで強く当たれないのだろう。
イッキ先輩と恋人の間に邪魔が入るとしたら、ほぼ確実にFCだ。
イッキ先輩は外では必ずサングラスをしているから、通行人に迫られることもないし、割って入って来られることも滅多にないはず。
そういうことも、イッキ先輩はきちんと把握している。
「じゃあ早速だけど、次のお休みはどこに行こうか?」
それから私達は早速次の休みの予定を立て、結果、映画を観に行くことになった。
それがイッキ先輩にとって一番負担が少ないだろうと思ったから提案したが、イッキ先輩も見たい映画があったようで、ちょうどよかった。
映画館なら皆スクリーンを見ているし、暗いからイッキ先輩がサングラスを外しても問題はない。
見たい映画が特にあったわけではなかったものの、お互いの望みは一致している。
初めてのデートにしては、良い予定の立て方ではないだろうか。
「じゃあ、来週の日曜ね」
「はい。楽しみにしています」
「うん、僕も」
浮かれている場合ではないと思いつつも、浮かれずにはいられなかった。
初デート、どんな服を着ていこうか。
その日のバイト中はそんなことばかり考えていた。