第二章:変わりゆく関係
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正宗が、みんなを食堂に集めてくれていた。
2人揃って帰ってきたのを見ると、二条はホッとしたような顔をしていた。
「皆、揃ってるか?」
「ああ」
そこには、初めて顔を合わせる、市ノ瀬の姿もあった。
「あんたが市ノ瀬千里か。初対面だが挨拶は後だ」
それから、久我と見に行った、破損部の状況を説明した。
今のところ侵入者は確認していないことや、破損により船が沈むことはないこと、それから皆にも状況を見てほしいこと。
「ひとまず固まって動いていれば、何かあった時に対処できる。今、ヒヨコに船内を確認してもらってる。確認が終わるまでは、各自1人にはなるな」
全員が顔を見合わせて頷く。
「空汰、手を繋ごう」
「僕、別に勝手に動いたりしないよ」
「それはわかってるが、私が安心したいんだ。手を繋いでくれないか?」
そう言うと、空汰は「しょうがないなあ」と手を繋いでくれる。
内部犯がいる可能性がある今、能力者達と固まって行動するからといって安心はできない。
相手の狙いは定かではないが、空汰に気づかれて連れ去られては、私が来た意味がなくなる。
「では、各自離れないように」
それから全員で破損部の調査と修復を行った。
結果としてわかったのは、内部犯がいる可能性だけだった。
敵の目的も、内部犯が誰なのかも、わからなかった。
そうして私達は、各自1人にはならず、内部犯を特定するためにもペア行動をすることになった。
「ペアは組めたか?」
正宗が皆の顔を見回す。
こはるは結賀と、久我は二条と、不知火は室星と、正宗は千里と、加賀見は乙丸と、そして私は宿吏と組んだ。
「ちょっと待って、アリサが一月と組めば、グループごとになるじゃない」
「そうなんだけどね、お嬢さん。アリサちゃんがあっくんと組みたいって言うからさぁ」
「悪いな、加賀見」
はは、と笑って言うと、加賀見も気心の知れた乙丸と組めることに不満はないようで、まあいいけど、と少し残念そうに言った。
「宿吏も、私とペアでいいか?」
「文句はねえよ」
「何ならあるんだ?」
「……なんで俺なんだ?」
「うーん、胃袋を掴まれたから?」
「はあ?」
本音は、乙丸と不知火もそうだが、襲撃の時点で一緒にいたから、内部犯の可能性が低いから。
それに、宿吏と組んどけば、不知火のグループの様子も見れる。
こういう問題は、『世界』に相談したところで、どうせ跳ね返される。
こちらに対処が丸投げされる。
それなら、早いうちから何事にも対応しやすい位置にいた方がいい。
宿吏は不服そうにしていたが、それ以上は言及してこなかった。
「まあ、ひとまず今日は解散にしよう。ヒヨコさんによると、侵入者はいないようだから、安心してくれ」
内部犯がいるのに安心なんてできるか、とは誰も口にしなかった。
襲撃を受けてから、もう夜も深くなってきた。
皆、体力を消耗しているのだろう。
それ以上何かを言う人はいなかった。