序章:合流
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その日の夜、ノックされて戸を開けると、正宗がいた。
「アリサ、今から少しいいか?」
「ああ。───こはる、先に寝てていいから。おやすみ」
「あ、はい!おやすみなさい、アリサちゃん」
ちょうど眠る前に談笑していたこはるに一言断り、私は正宗と外に出た。
泉の横のベンチに2人で座り、少し間をおいて正宗は話し始める。
「『世界』にはもう報告しているが、」
それから私は、正宗から、襲撃を受けたことや内通者の可能性、そして市ノ瀬千里が引きこもっていることを聞いた。
「なんだそれ……。本当に正宗だけで対処しきれない問題が起きてんのかよ……。『世界』に報告して、それで?」
「そちらで対処しろ、と」
「だろうな」
『世界』は基本的にこちらに対して不干渉だ。
なるべく能力者に影響を与えず、島に辿り着かせるため、ほとんどのことはこちらで対処しなくてはならない。
「襲撃犯の目星はついてるんだろ?」
「……まあ」
「こんなあからさまに『世界』が絡んでそうな船を襲撃できる奴なんて、2人くらいしかいないからな。で、内通者は?」
「そっちは何とも」
「そうか……」
内通者がわかれば、ある程度襲撃は防げるかもしれない。
だが、わからない場合、結界のもろい部分など弱点が相手に漏れていることになる。
「久我の周りは警戒しておいた方がいいかもしれないな」
「ああ」
あとは、市ノ瀬か。
「そもそも何故引きこもりに?元々活発な性格ではないが、人との関わりを絶とうとするほどでもないだろ」
「それが、『どうせ敵になるんだから仲良くなる必要はない』と……」
「は?」
能力者を集めるのは、リセットのため。
リセットをするのは、争いを止めるため。
能力者同士が敵対しては、元も子もない。
「……」
少し考える。
市ノ瀬千里は何故そう思ったのか。
誰かに吹き込まれたか?
だとすれば、それはおそらく内通者と同一人物だと考えていいだろう。
つまり、敵はこちらの内部分裂も狙っているということだ。
「なんでそんな考えになったのかはわかってるのか?」
「それが……」
新聞。
それはこの時代において情報を得る手段に最適なものだ。
そこに書かれていたことであれば、ある程度の人間は信じるだろう。
相手は、頭もいいらしい。
「その件は、少し私に預けてくれ。直接彼と話がしたい」
「わかった」
そうして私と正宗の間で情報の共有が行われ、2人で対策を練った。
ある程度のことであれば結賀たちも混ぜて話せるが、『世界』の事情を知っている者同士の方が何も気にせず話し合えるから楽だ。
「じゃあ、そろそろ寝よう。また何かあったら知らせてくれ。私もそうする」
「ああ。おやすみ、アリサ」
「おやすみ、正宗」
正宗と別れて、静かに自室に戻る。
こはるはもう寝ていて、私も早々に目を閉じた。