序章:合流
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皆の元に戻ると、何人かは少し安堵した顔をする。
「待たせてすまない」
「改めて自己紹介する。東条 アリサだ。正宗とは古い知り合いで、能力者だってことは言ってなかったから、まさかだったんだと」
このノルンで能力者達が決めたルール。
それは能力については言わなくてもいい、問い詰めてはいけない、ということだった。
私にとってはかなり都合がいい。
それから私も1人ずつ挨拶を受け、全員と握手をした。
「アリサの部屋なんだが……」
人数が増える、ということは部屋が足りなくなるということ。
なんならこの後空汰も乗ってくるし。
「私は荷物さえ置くところがあればその辺で寝るから、気にしなくていい」
「そういうわけにはいかないわよ」
「風邪をひいたら、大変」
「そんなヤワじゃ───!」
私の部屋をどうするか決めている時、新たな乗船者が来た。
おそらく空汰か、と思っていると、どうやら少女も一緒らしい。
「まだ誰か乗ってくるの?」
「ひとまず迎えに行こう」
それから私を出迎えた結賀と宿吏が出て行く。
今度は手酷く扱わず、普通に連れてきたものの、少女の着ている制服について、怪訝に思わない人はいなかっただろう。
旅人に貰った、というその言葉から、その旅人が結賀史狼である可能性は容易に想像できる。
ここにも、思惑があった。
「……やっぱ来て正解だったな」
「え?」
「なんでも」
結局、空汰は別部屋で、女子4人で2部屋を分けることになった。
同室の組み合わせを時々変えよう、と私が提案すると、3人は笑顔で頷いた。
「それじゃあ、ひとまずよろしくな、こはる」
「はい!よろしくお願いします、アリサちゃん!」
最初に同室になったのは、こはる。
新参者同士で親睦を深めようという意図があるようだった。
「こはる、人と関わってこなかったっつー割には綺麗な敬語話すよな」
「えっ?そ、そうでしょうか……」
「ああ。私なんかよりずっとちゃんと話せてるよ」
「そんな……!」
「いいのいいの。その話し方、誰かに教わったのか?」
「いえ。マナーの本を読んで、自分で……」
こはるはもごもごと話す。
人と関わらなかったということは、答え合わせが今までできなかったということか。
「独学か。偉いな、ちゃんと勉強したんだな」
こはるの頭をポンポンと撫でる。
嫌悪感を向けてきていない相手へ、早く親しむためにはやはりスキンシップだろう。
こはるは、少し恥ずかしそうに微笑んだ。