最終章:『世界』
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船を襲った奴と同じ、機械人形達が私達の前に立ちはだかる。
緑が多いここで、安定して使えない中で炎を使うのは危険だ。
そう考えた私は、緑の能力のカプセルを服用する。
「お前さっき銃があるって言ってなかったか!?」
「あるとは言ったが、能力を使わないとは言ってないだろ!」
心臓が疼く。
短期間で二種類も服用すれば、身体にガタがくるのはわかっていた。
「夏彦、室星、動きが止まってる奴から狙え!」
「言われずともそうする!」
私がツタで動きを封じ、2人が銃で撃ち抜く。
その一方で、逃れている奴は宿吏が相手をした。
「くそっ、数が多すぎる……!」
「この間の倍以上だぞ!」
「かはっ!……ぅ……くっ……」
能力の使いすぎで、血を吐く。
「東条!」
「気を緩めるな!」
駆け寄ってこようとする宿吏を、声で制する。
私の能力が弱まった一瞬の隙をついて、私と関係なく植物が動き始める。
結賀駆だ。
「駆くん……!」
結賀のターゲットは、室星に向いた。
耳飾りのことを気づいていたのか……?
「へえ、これが君の本気なんだ」
室星は、戦いを楽しんでいる様子だった。
結賀が来ると、機械人形達は姿を消していく。
まさか、と思って目で追うと、こことは別のルートから中へ入ろうとしているようだった。
「ここは、任せたぞ」
「おい、東条!?どこに……!」
私は皆から離れた場所で、地面に手をつく。
結界の能力が切れている今、この緑の力でどうにか侵入を防ぐしかない。
島の形に沿ってツタを這わせ、引っかかった人形から吊し上げ、確実に潰す。
「っはぁ……」
目を閉じ、意識を集中させれば、次第にツタが広がっていくのがわかる。
「ぅあ………………」
身体中の血管が張り裂けそうに脈打ち、血を吐き、私の身体はもう耐えられない一歩手前まできていた。
「っぐ……かはっ……ぅ………………」
その時、機械人形の動きがなくなった。
一体も動かず、その場で止まった。
どうにも様子がおかしいと思った時、機械人形は何故か踵を返し始める。
限界が来た私の身から、能力が抜けていくのがわかった。
「っはぁ、はぁ……ぅ……げほっ、げほっ……」
その場に倒れ込み、声も出ない。
遠くに、こはるの炎が見えた気がした。
そして、その炎が収まると同時に、誰かがこちらへ駆け寄ってくる。
「おい!東条!!」
宿吏だ。
後を追ってきた夏彦は、苦い顔をしている。
「アリサ、お前……。おい、すぐにこいつを中へ運べ。早くしないと手遅れになるぞ」
夏彦の指示で、宿吏は私を抱えて走る。
なるべく振動が私に伝わらないよう、細心の注意を払ってくれているのがわかった。
中に着くと、薄れゆく意識の中に、正宗の声が響き、それと同時に基久や凪沙の声も聞こえる。
そして私は意識を手放した。