最終章:『世界』
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島に着くまでの間、久我やこはる達が交代で私の元へ来た。
話は私の体調を心配するところから始まり、次第に私への想いに変わっていった。
だが、私を恨む声はなく、私は私だ、と。
そう言ってくれた。
『世界』に対して思うところがあるであろう加賀見も、君はあの一件に関わってないんでしょ、と笑った。
能力のせいで苦しんだはずの市ノ瀬も、だからあなたはあの時能力者同士で戦うことはないと言いきれたんですね、と納得した様子だった。
能力について言いたいことはないのか、と問うと、別にあなたに言ったところでどうにかなるわけじゃないでしょ、と妙に達観した答えが返ってきた。
「調子はどうだ?」
そして最後には、正宗が来た。
「もう大丈夫なんだが、宿吏が起きさせてくれなくてな」
「ふっ、そうか。……駆は攫われてしまったが、お前のおかげで、何とか他の能力者は無事に島に連れて行ける」
「私のせいで、結賀は連れ去られたけどな」
「そう言うな。わかってるんだろ?」
「ああ。結賀史狼は、必ず島に来る。アイオンを壊しに」
「……ああ」
奴にとって邪魔でしかない『世界』。
それを壊さずに満足するとも思えない。
必ず、リセットの妨害が入るだろう。
そして、夏彦もまた同じ。
「おそらく、結賀は洗脳された状態にあるだろう。……アイオンの寿命が尽きる前に、それが解ければいいが……」
「……」
結賀の能力は、リセットには欠かせない。
……おそらく、今回のリセットは失敗に終わる。
結賀史狼はそれを見越して、アイオンの寿命が尽きる頃に襲撃してくるはずだから。
「悪かった、結局対処できなくて」
「いや、アリサがいてくれたから、こはる達が無事だった。……駆のことは、俺にも責任がある」
「……」
「……」
結賀の耳飾りは、室星が破壊したはず。
だがそれでは足りなかった。
あいつから、父親の記憶を消すくらいしておかないと、ダメだったのかもしれない。
「おい、東条、入るぞ」
宿吏が、夕飯を持ってきてくれる。
「じゃあ、俺はもう行くよ」
「ああ、また明日な、正宗。宿吏も、みんなとご飯食べてこいよ。これ、食べ終わったら自分で戻しに行くから」
「だが、」
「いいんだよ。さすがに私も動かないとな」
そう言って笑うと、宿吏は引き下がった。
もうすぐ、島に着く。
私はアイオンのことがずっと気がかりだった。