最終章:『世界』
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街から戻ってきた正宗に、事の顛末を話した。
それを聞いた正宗は慌てて久我達を街から呼び戻し、出発することにした。
室星は、いつの間にか消えていて、おそらく夏彦のところに戻ったのだろう。
次会うのは、おそらく島だな。
「ねえ、戦争はまだ終わっていないのでしょう?それなら、最後まで彼らを守るべきだわ。戦争を終わらせられないのなら、守るしかないじゃない」
戦争は、終着へ向かっていた。
結賀史狼が欠けた今、『世界』側の勝利という形で。
「それはやりすぎだ、久我」
「どうしてよ!」
「戦争が起こる度、久我はここへ来るのか?多少のことには、自分達で対処できるようにならないといけない。そのために私も動いてきたんだ」
私は、機械を修理すると同時に、自分達でも修理できるように構造や修理の手順を説明していた。
私がいなくなった後でも、修理ができるように。
「戦争は終わらない。仲が悪い奴らが何度でも喧嘩するように、戦争は何かの拍子に何度でも始まる。その度に街が被害に遭うばかりじゃあ、そのうち人間は滅ぶぞ」
それに、と付け加える。
「あの人間達は無力じゃない。私らに頼らなくても、そのうち何とかできるようになるさ」
「……ええ」
久我が頷いた時、心臓が大きく脈打つ。
「っ!」
長々と話しすぎた。
薬の反動が、徐々に身体を蝕んでいる。
「おい、東条?どうした?!」
「悪いな、宿吏……肩を借りる……」
宿吏に支えてもらいながら、近くの椅子に座る。
「っけほ、けほっ」
「そういえば、アリサちゃんもお嬢さんと同じ、結界の能力を使ってたけど……」
「え?」
一気に皆の視線が私に集まる。
「……アリサ、ロンが持ってたカラクリのことも知ってたよな」
乙丸から、疑いの感情が流れてくる。
まあ、そうなるよな。
「みんな、待ってくれ、アリサは───」
正宗が必死にフォローしようとするが、それは正宗の立場も危うくしてしまう。
「いい、正宗。私が、蒔いた種……だしな。どうせ時期にっ、『世界』の元へ着く……。もう……話しても、いいだろ……」
そして、私は自分が『世界』の人間であることを明かした。
リセットやアイオンのことには触れず、ただ淡々と自分のことを明かした。
「つまり、東条は『世界』の人間で、俺達を『世界』の元へ無事に届けるために来ただけで、能力者じゃねえってことか?」
「……ああ」
「じゃあ、どうして『結界』が張れるのよ」
「……これだ」
私はポケットの中から薬の入ったケースを机の上に出す。
中は9つに区切られており、それぞれ1つずつカプセルが入っている。
そして、さっき使ったところは、空になっている。
「……これは?」
正宗もこの存在は知らず、少し声に焦りが混ざっている。
「一時的に、能力が使えるようになる、薬だ……。私用にカスタマイズ……してある、から、っけほ、私以外が飲むと、死ぬけどな」
「!」
カスタマイズしてあるものの、元々能力適正値の低い私にとって、この薬は毒でしかない。
だが、何かあった時に役立てばと思って持ってきたのだ。
「……すまん、そろそろ、限界が───」
私の意識は、そこで途切れた。