第三章:戦地へ
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ご飯を食べ終え、家を出ると、来た時とは別の場所かのように街に活気があった。
シャッターを閉めていた店は開き、少ない入荷量ながらも、商売をしている。
「おっ、さっきはありがとな、嬢ちゃん達!」
「いえ」
「よかったら、これ持って行ってくれよ」
店のおじさんは、私達に食料を分けてくれた。
それからは、久我と二条は結界のこともあってノルンには戻らないと言い、正宗は諸用で街に残り、私と宿吏、結賀、こはるだけが一旦ノルンに戻った。
4人で戻ると、他の人はどうした、何かあったのかと問い詰められたが、訳を話すと、皆胸を撫で下ろしたようだった。
その日の夜、私は寝付けず、ノルンの中をフラフラと宛もなく歩いていた。
すると、珍しく船内を歩いている室星を見つけた。
手には、結賀の耳飾り。
「それ、盗ったのか?」
「うん」
「……なるほど。わかってんだな、それが何なのか」
「君も知ってるの?」
「まあな。……それ、知ってて盗ったんなら、早めに壊しとけよ。気づかれてまた付けられれば、逆戻りだ」
「うん、そうだね」
室星は、どことなく掴みどころがない。
悪意や殺意は感じないのに、どこか信用はできない。
そして、結賀の耳飾りの本当の意味を知ってるってことは、おそらく。
「……そうか。あんたか、夏彦と組んでるのは」
「へえ、夏彦のことも知ってるんだ」
途端に雰囲気が変わる。
今までと違って、少し警戒の色が滲んでいた。
「さりげなく武器に手をかけんなよ。別にあんたが夏彦と組んでようが、内部犯だろうが、実のところどうでもいい。私の目的さえ果たせれば」
内部犯が特定できれば、対処のしようもある。
皆に話して混乱を招くより、黙ってこのまま島にたどり着き、あちらで対処してもらった方がいいだろう。
「他に、室星が内部犯だって気づいてる奴はいんの?」
「七海だけだよ」
「不知火が?」
「うん。俺に自首させるって、本当に誰にも話してないみたいだね」
「そうか……」
これだけ騒ぎになっていても話さないなんて、情でも移ったか?
「まあいい。私はもう寝る。あんたも休めよ」
そう言って私は室星に別れを告げた。