第二章:変わりゆく関係
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市ノ瀬の部屋から離れると、宿吏が気づいてこちらに来る。
「……あいつ、どうだった?」
「ああ。まあ、多少はマシになるはずだ。誤解は解けてないかもしれないが、全員に壁を作るってことはなくなるだろ」
「……そうか」
私は、宿吏が市ノ瀬の兄だということを知っている。
宿吏が弟想いで、優しい兄だということも。
……不知火とのことも。
あの状態を見て、心配にならないはずがないよな、と思った。
「じゃあ、お互いグループに戻るか」
「ああ」
グループが違う私達と加賀見達は、結局グループ変更を行わず、そのままにすることにした。
そして、お互いにグループで活動している間は、私と加賀見、宿吏と乙丸で一緒に行動することで妥協した。
「待たせた」
「いいえ、私達も今来たところよ」
今日は料理当番だ。
「私、料理したことないんだけど大丈夫か?」
「大丈夫よ。私達もしたことないもの」
「……そうか」
非常に不安になる一言だった気がする。
「加賀見は?」
「あっくんみたいにはできないけど、簡単なのはできるよ」
「……そうか」
頼りになるのは加賀見だけだな……。
「じゃあ、始めましょう」
料理が始まって、まずつまずいたのは包丁の扱い。
私はデータで見ていたから何となくわかっていたけど、久我達は知らないから、1から始める必要があった。
「あ、お嬢さん!なんでそんな持ち方するかなぁ。指切っちゃうでしょ」
「二条、左手は猫の手だ。伸ばしたままだと具材と一緒に切断しかねないからな」
次は、炒める時。
「一月、具材がフライパンにくっついてしまったのだけれど、どうしたらいいのかしら?!」
「油を敷かないからだよ、お嬢さん……」
「二条、具材は一気に入れるな。火が通りにくいものから入れるんだ」
「なるほど。火の通りやすさが違うから、一緒のタイミングで入れると焦げてしまうのか」
盛り付けはさすがに何とかなったものの、かなり大変だった。
私はデータで見ていたおかげで、役に立った。
掃除の時は不十分だった知識も、料理では十分に発揮できた。
「アリサちゃん、やってないとか言ってたのにバッチリだね」
「注意点とかは聞いたことあったしな」
「わ、私も、次までには今日言われたことをできるようにするわ」
「僕も、かなり足を引っ張ってしまったから、少し勉強してくるよ」
「2人も、吸収が早いから次は大丈夫だろ」
そうしてできた料理を皆に振る舞い、まあ何とも言えない評価をもらった。
久我は「次こそは」と意気込み、二条は「深琴にも教えられるように」と勉強意欲を滲ませていた。