花ひとひら
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おだやかな陽気に包まれて、うつらうつらとしてまう。
ついこの前まで続いていた厳しい寒さは全く感じられない。
あっという間に桜の盛りは過ぎ、辺りは新たな生命の息吹に満ちていた。
「春だねぇ」
「春だよー」
「春じゃのう」
とある野原の木の下で。
りんと邪見、そして桜は春風に揺られていた。
殺生丸の姿はない。
どこかに出かけていて、桜達はその帰りを待っているのだ。
「ねむたーい」
桜がうぅーん、と伸びをすると、
「りんもーー」
りんも真似をする。
10歳ほど年下の子の可愛いらしい仕草に桜は微笑んだ。
邪見はいつも通り、殺生丸さまに着いて行けなかった事にぶつぶつ言っている。
二人はいつものように無視しながら、まどろんでいた。
「あっ桜ちゃん」
ふいにりんの手が桜の頭に伸びた。
「ん?」
「髪の毛に……ほら!桜の花びら!」
「わ、本当だ!」
りんの小さな掌に薄桃色。
「まだ桜が咲いているのかなぁ」
「この辺に桜の木があるのかも!りん、見に行きたいなぁ」
「こりゃ、りん!ここで待てと殺生丸さまに言われたじゃろうが」
「そうだけど今年はゆっくり桜見れなかったんだもんっ」
りんはぷぅーっと頬を膨らませる。
桜はよしよしとその頭を撫でた。
-----------桜、見せてあげたら喜ぶんだろうなぁ…
「あ!そうだ!」
桜はぱっと顔を上げた。
そして邪見の方を向く。
「ねぇ邪見、私一人でこの辺見てきていいかな?
私には一応武器もあるし、遠くまで行かないからさ!」
「だめじゃだめじゃ!何かあった時に怒られるのは儂なんじゃからな!」
「えぇーー邪見、お願いだよー」
邪見の肩を掴み、がくがくと揺さぶる。
頭が激しく揺さぶられている邪見にりんはけたけたと笑った。
「わ、わかった、わかった、近くだけじゃぞ!」
「わーーいっ!邪見大好き!
りんちゃん、きっと桜を見つけてくるからね!」
「ほんと?嬉しい!気を付けてねー!」
「うん!行ってきまーす!」
そして、桜は立ち上がり、駆け出した。
「行ってらっしゃーい!」
「近くだけじゃからなー!!」
二人の声を背中で聞きながら、桜は微笑んだ。
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