St. Valentine's Day
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「桜ちゃーーんっ!おかえりなさい!!」
「ただいま、りんちゃん!」
桜は待ち合わせ場所の村はずれの野原でりん達と落ち合った。
「まったく、毎度毎度殺生丸さまの足を引っ張りよって…」
「ごめんごめん!でも今日はお土産あるんだよ~」
「やったーーーっ!」
ぶつぶつと小言を続ける邪見と、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶりんに桜は目を細め、いつもの様に少し離れた木陰に腰を下ろしている彼に視線を移す。
綺麗な長い銀髪をに金色の瞳を遠くへ向けている彼、殺生丸。
いつもと変わりない、何気ない状態なのに、桜の胸はとくんと鳴った。
--------殺生丸さま…
『殺生丸に持って帰ってあげたらどうですか?』
かごめの声が脳裏をよぎる。
「桜ちゃん?」
「はっ!!はい!」
「顔…赤いよ?」
「えっほっ本当に?!夕焼けのせいじゃないかなぁーあははっ」
「こやつ、大丈夫か…?」
「邪見うるさーいっ」
邪見とりんと戯れて気を紛らわすも、頭に引っかかって離れない。
------だって私……本命チョコなんて、あげたことないんだもん…
殺生丸をちらと見やり、小さくため息をこぼした。
-------------------------------------------------
------------------------------
その晩。
満月が雲の狭間にちらついている。
一行は夕飯を済まし、火を囲んでいた。
殺生丸は変わらず、離れた場所で桜らを見守っている。
「じゃーーん!」
桜は楓の家から持って帰って来た袋を取り出した。
「わああーーっ大福だあ!」
「うおおお!?どうしたのじゃ!?」
----ふふっ、予想通り!
「かごめちゃんが材料を向こうの世界から持って来てくれたから作って来たの。
しかも、ただの大福じゃないんだよっ」
「食べていい!?」
「もちろん!」
りんと邪見は目を輝かせ、桜の持って来た苺大福に飛びつく。
そして、一口かじり、
「わあ!!これ、すごくおいしい!」
「むむ…これは…」
「喜んでもらえて良かったぁ。苺っていうんだよ」
「甘くて、でも酸っぱくておいしいーっ」
すっかり大はしゃぎのりんである。
------やっぱり、喜んでもらえるのが一番幸せだよね
桜は微笑んだ。
「これなら毎回持って帰って来て欲しいものじゃ」
邪見があんこで口周りを汚しながら言った。
「そうしたいけど…今日は特別な日なんだよ」
「特別?」
首を傾げる二人に桜はバレンタインの説明を始める。
「――…だからね、かごめちゃんが気をきかせて持って来てくれたんだ。……って、あれ?」
二人のただならぬ雰囲気に今度は桜が首を傾げた。
「駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃっ例え桜と言えど、絶対に許さんぞ」
「もーっ邪見さま、何でそんな事言うの!りんはすっごく良いと思うのに!」
「な、何の事…?」
「だって桜ちゃん、今日殺生丸さまに好きって言うんでしょ?!」
いたいけな少女の輝く瞳に、桜は言葉を無くしてしまった。
.