永遠に
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屋敷の端の裏庭まで来て、桜は立ち止まった。
昨晩から降り続いている雪が辺りを白く染めている。
灰色の空を見上げていると、目頭が熱くなってきた。
人間として蔑まれる事は慣れていたし、覚悟もできていた。
-------------------だけど…
殺生丸さまが、私の死んだ後に再び誰かと結ばれるなんて…………
「お世辞に浮かれちゃって馬鹿みたい」
桜は着物が雪に濡れるのも構わず、しゃがみ込んだ。
幸せすぎて考えた事もなかった遠い先の事。
人の一生など、妖怪のそれに比べれば瞬く間の事に過ぎない。
-----------私が死んだら…
他の娘が殺生丸さまの隣にいて
殺生丸さまのの温もりも
殺生丸さまの香りも
殺生丸さまの心もーーーー
「何をしている」
「殺しょ………丸さま……っ!」
--------------この優しさも全部
他の人の物になっちゃうの……?
「何があった」
殺生丸は桜の隣に片膝をつく。
「っ殺生丸さま、お着物が濡れてしまいます!!」
「貴様とて、そうだろう」
「うぅ…」
一筋、二筋と涙が線を引いた。
殺生丸は静かに桜の頬を伝う雫を掬う。
が、殺生丸の優しさを感じれば感じるほどに涙の雨は激しくなる。
とうとう嗚咽を漏らしながら泣く桜を殺生丸は静かに抱きしめた。
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