永遠に
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その調子で次々と客人は訪れてきた。
蛇斎との会話でだいぶ緊張が解けた桜も、今ではにこやかに言葉を交わしている。
桜は皆に口々に褒められ、嬉しいやら恥ずかしいやら満更でもない。
そして大方の客が来たと思われた頃。
桜はふと座敷に落ちている扇子に気がついた。
「誰かの忘れ物…?」
桜は腰を上げ、それを拾う。
「先の狼の物だ」
「あ、じゃあ私が持っていきます!皆様、大間に集っていらっしゃるんですよね?」
「女中にでも言いつければ良いだろう」
「皆、酒宴の準備で忙しそうなので…。
大丈夫です、すぐに戻りますね!」
そうか、と頷いた殺生丸を背に、桜ぱたぱたと部屋を出た。
-------------この部屋だったよね
屋敷で一番立派な部屋の前に立つ。
殺生丸への挨拶を済ませた妖怪達が賑やかに酒宴までの時を過ごしているようだった。
桜は膝をつき、襖に手を掛けようとする。
その時。
騒々しさの中から、低く鋭い声が桜の身を貫いた。
『やはり人間というのは醜うてたまらんわ』
-------------え?
桜は体を硬直させたまま耳を澄ませてしまう。
『おい、声が大きすぎるぞ』
『おっと…しかし、ぬしらもそう思わぬか?
あれしきの娘なんぞより儂の娘の方が美しかろうに…』
『そういえば、おぬしは特に娘を殺生丸殿の妻にと推していたのう』
『まぁまぁ落ち着きなされ。
人間の寿命なんぞ、あと100年も無いのですぞ。
それから考えれば良かろう』
『それもそうじゃ。
殺生丸殿にとっては若き日の一瞬の出来事に過ぎぬ』
『次の奥方候補には儂の末娘も推そうかのう』
『いや、儂の娘こそ』
妖怪達の笑い声が渦を巻く。
目の前が真っ暗になりながら、桜は思わず走り出していた。
妖怪達の喧騒から逃れるように………
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