第二章 存在意義
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「せ、殺しょ…「殺生丸さまーーーっ!」
---------へ?
桜が安堵したのも束の間。
桜を見下ろす殺生丸の背後から、子どもの声が聞こえてきたのだ。
そして、ゴウッと風が吹いた後、殺生丸の横に首が二つある龍のような動物が目の前に現れる。
桜は、本能的に身体を強ばらせ、目を見開いた。
----------なにこれっっ…!
「ん?だ、誰じゃ、おぬし!」
双頭の視線から逃れられずにいたら、さっきの子どもとは違う、しわがれた高い声が聞こえてくる。
「えっ?!」
「本当だーー!!人間のお姉さんだっ!」
そして、その化け物の横にちょこんと小さな人影。
人間の、一束の髪を頭の左上で束ねた女の子だ。
桜は人間だということに安心して、何か言おうと口を開く。
しかし、彼女より先に、先程の声が再び聞こえてきた。
「こりゃ、女っ!何者じゃ!」
次の瞬間、桜は目を見開いた。
少女の隣に出てきたのは、揉烏帽子をかぶり、昔の貴族か役人を思わせる着物を着た、くちばしのある小さな緑の生き物。
手には、老いた男と若い女の顔がついた杖。
----------気絶してしまいたい
そんな桜の気持ちを悟ったのか、少女が桜に駆け寄る。
「ごめんね、お姉さん!
邪見さまは妖怪なんだけど、でも、悪い妖怪じゃないから…
あ、あたしはりんっていうの!お姉さんは?」
「えっと…蒼井桜です…」
邪見、という名の小妖怪と殺生丸は何も言わずに2人のやり取りを見ている。
邪見はちらちらと殺生丸の方を伺いながら、だが。
りんはそんな2人を気にせずに続ける。
「えーっと、桜ちゃんって呼んで良い?」
「えっと、うん…
あの、りんちゃんは人間、だよね?」
「そうだよーっ!
ちょっと前に殺生丸さまに助けてもらったの」
「殺生丸、さま、に?」
「うん!殺生丸さまは、すごく強くて優しい妖怪なの!」
「……」
---------刀々斎さんが私を殺生丸…さまと一緒に行かせたのは、こういうことだったのかも。
ここには人間の女の子もいるし、暮らしていけるって…
そう考えると、少しずつ緊張が解けてきた。
「桜ちゃん、大丈夫…?」
「あ、大丈夫!
えっと、多分これからお供させてもらうから、よろしくね」
「本当っ!?」
「え゛っ、本当ですか、殺生丸さま!」
ぱあっと明るくなるりんと、反対に心底仰天した邪見。
「この女は『闇桜』を持っている」
「な、闇桜とは、あの?!」
-----------この小さいのも闇桜のこと知ってるんだ。
そんなに有名な刀なのかな…
「行くぞ」
「あぁぁ殺生丸さま、お待ちくださいぃ!
こりゃ、りん!それに桜か?早くせい!!」
「はーい!
桜ちゃん、阿吽に乗って!」
「あうん?」
「そう!この竜の妖怪!」
そして、りんはさっさと先程の竜の妖怪にまたがる。
-----------な、なかなかこれに乗るのって勇気がいるんじゃ…
体が鱗で覆われてるし、この世界に来てから一番人間離れしてるかも…
桜は恐る恐るりんに倣う。
思ったよりその乗り心地は良く、ほっとしている間に邪見が一番後ろに乗った。
「桜ちゃん、しっかりつかまってね!」
「え?……………きゃああっ!」
ゴウッという突風と共に、阿吽の体は上空まで上がる。
さっき歩いていた森は遠く下に見えた。
「ええっ空飛んでるよ!!すごーーいっ!」
「ねー!りんも初めて乗った時はびっくりしちゃった!」
ぐいぐいと高度を上げる阿吽。
桜は初めての体験に感動するばかりだった。
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