第二章 存在意義
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ちゃんと整備されていない森の中の獣道を歩きながら、桜は前を歩く男の背中を追っていた。
--------『着いて来い』
そう言われたのは、数刻程前で。
この男に着いて行こうと思ったのも、その時で。
1日前には平成の世にいたはず。
だけど、戦国の世で、人間じゃない人の背中を追っているのが現状で。
---------いや、人っていう表現は合ってるのかな…
一体何者なんだろう……
そんなことを考えながら、転ばないように気を配っていた。
が、道はさらに険しくなり、平地でもなくなっている。
少々体力に自信のあった桜だが、息はもうすでに上がっていた。
何とか前の殺生丸に追いつこうとするも、じわじわと距離が開いてしまう。
---------やっぱりホイホイと着いて来るんじゃなかった!
一瞬大丈夫かとか思ったけど何も喋ってくれないし!
やっぱりあの人怖いし!
でも、こんなとこではぐれたら死んじゃうよ……
早くも頭の中で湧き出した愚痴を振り切るように、スピードを上げた瞬間。
「きゃあっっ!!」
ドシャッ、ザザザザッ………
木の根に躓き転んだ上に、斜面から少し滑り落ちてしまった。
「痛ぁ……」
前を見ても殺生丸はいない。
--------ちょっと…いきなり、こんな訳分かんないとこに来て、こんな痛い目に合うなんて……
溢れそうな涙を堪えながら、泥のついた自分の制服を見る。
紺色のブレザーに、薄いピンクのカッターシャツの胸には大きめの赤いリボン、少し短めの紺基調のチェックのスカート。
----------お母さん達、心配してるかな。
ふと元の世界のことが思いやられた。
----------あの世界から逃げても…何も変わらないね。
思うようになんて行かないし、自分の進む道は選べない……
とうとう一粒の涙が頬を伝った時。
「遅い」
目の前の気配に顔を上げると、そこには彼の姿があった。
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