第十二章 由来
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白霊山の一連からひと月が経つ頃。
小鈴が一行のもとへ再びやって来た。
「闇桜を打った刀鍛冶が見つかった?」
桜は眉に皺を寄せて聞き返した。
林の中、木漏れ日を浴びながら一行は円を描くように座っている。
ただ一人、殺生丸だけはそこから一歩離れたところに腰を下ろしていた。
「はい。桜憐さまの調べによりますと、山の国の峡谷でひっそりと暮らしているようです」
--------その人が、この刀を"闇桜"にしてしまった張本人…
桜はそっと胸に手を当てた。
ようやく闇桜の根本的な解決に向かえるかもしれない、そう思うと気が逸る。
「その刀鍛冶の名は、刀念(とうねん)。
闇桜の闇を生み出すほどの妖です、お気をつけくださいませ」
「ふん、そのような者、殺生丸さまの足元にも及ばんわ!」
「殺生丸さまは強いもんね、桜ちゃん」
「う、うん。そうだよね…!」
--------殺生丸さまの旅の目的を邪魔しちゃうかもしれないけど…
誇らしげに大口を叩いている邪見や笑顔でそれに応えるりんとは裏腹に、桜の脳裏には一抹の不安がよぎった。
どうしても足を引っ張っているような気がしてならない。
勿論、そこに桜の責任があるところなど少しもないのだが。
ちらりと殺生丸の方を見るが、彼は相変わらず涼しい表情をしていた。
その端正な顔立ちはいつ見ても綺麗で、妖艶で、魅せられる。
知らず知らずのうちに見惚れてしまっていた桜に気付き、邪見やりん、小鈴も殺生丸の方を向いた。
殺生丸はその切れ長の目をゆっくりと閉じる。
そして、音もなく立ち上がり、短く言い放った。
「早くしろ」
場の空気が緩んだ。
その意は皆が知っている。
邪見がいち早く立ち上がり、金切り声で急き立てた。
「こりゃ、殺生丸さまを待たせるでない!」
りんも嬉しそうに桜の手を取る。
「行こう、桜ちゃん!」
-------殺生丸さま、ありがとうございます───
桜は満面の笑みで頷いた。
「うんっ!」
賑やかな声を響かせながら、一行は空へと舞い上がった。
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