第十一章 覚悟
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「本っ当にごめんなさいっ」
地面に降ろされた桜は、真っ先に殺生丸に頭を下げた。
後からやって来た小鈴は、桜の肩に乗りながらおろおろとしている。
「桜っ…まーた殺生丸さまの手を煩わせよってぇえ」
どこから出て来たのか邪見が顰めっ面で小言を言うが、いつもより覇気がない。
気怠げで、ぐったりとしている。
--------結界のせいかな。
殺生丸さまもだいぶきついんじゃ……
桜は視線だけ上げて殺生丸を見る。
邪見とは違って顔には出さないが、それでも無理をしているに違いない。
----------邪見の言う通り、本当に足手纏いだ……
「邪見、黙れ」
「はっはひっ!」
殺生丸は桜を一瞥すると「構わぬ」と短く告げ、白霊山に背を向けて歩き出す。
はぁ…と息を吐き、桜はその顔を上げた。
「ああ殺生丸さまぁ…お待ちくだされぇ…」
邪見が情けない声を出しながら地を這うように殺生丸の後を追っている。
桜は右手で固く握り締めていた闇桜をしまうと、それに並んで歩いた。
先程傷めた足もズキズキと痛むが、いつもキーキーと騒いでいる邪見が弱っている方が心配になる。
「邪見…抱っこしてあげようか?」
「馬鹿にするでないわっ!!全く、桜もりんも…」
「りんちゃんも……?」
「りんも七人隊に捕まっしまったのじゃ!」
「えぇっ!!」
再び胸中を不安が占めた。
「奴らは必ず殺生丸さまが不利な白霊山へ来るから…これは先回りじゃ」
「そんな、りんちゃんまで……」
「桜さま」
黙っていた小鈴が口を開く。
「前より結界が強くなっています…」
「それは…邪見もそうだけど、殺生丸さまも限界ってことね…!」
----------私が殺生丸さまの代わりに闘えたら良いのに…
心なしか痛みを増していく足を見て唇を噛んだ。
つくづく自分の無力さを呪う。
「桜さまも、です。闇桜の技には期待しないでください」
「え?」
「この聖なる結界の中、刀としては働いても妖術は出せないでしょう」
「っ……」
---------刀で直接闘うしかない。
その時。
殺生丸が僅かに目を細めた。
「桜と邪見はここにいろ」
目を凝らすと霧の向こうに人影が見える。
「七人隊じゃ!桜っ隠れるぞ」
邪見に促されるがままに岩陰に隠れた。
----------りんちゃんも殺生丸さまも、どうか無事で──…
桜は祈るように両手をぎゅっと握り締めた。
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