第十章 白霊山
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ガガガガッ
破壊音が絶え間なく轟く。
桜は神楽との距離を詰めるよう宙を駆けながら、虚空を睨んだ。
漆黒の軌道。
----------この技を正面から受ければ、どれだけ傷つけるんだろう。
だけど……
脳裏に今日見た残酷な景色が蘇る。
-----------関係のない人達まで殺されている。
それに、私だって殺されるかもしれない……
桜は闇桜を構え直し、円を描いた。
神楽へと飛ぶ無数の花弁。
---------やった!?
しかし。
「あっぶねぇ」
僅かなところで避けられ、その代わりに岩壁が抉られていた。
----------あと少しで刀の間合いに入る。
直接刀で打てば確実に……っ
「ぼーっとしてたら、その足無くなるぜ?」
「!!」
竜巻のような風の渦が桜の足元を狙う。
桜は高く飛び上がると、そのまま神楽の方へ刀を振りかざした。
----------今の体制じゃ、頭しか打てない…!
キィィィィン
「前より素早くなってるけど、所詮人間か。
甘っちょろいな」
---------しまった─────!
咄嗟に、刀を峰打ちの方向へ返してしまった。
それは呆気なく扇で受け止められてしまっている。
「桜さま、退いて──
「遅えよ!」
扇の一振りで桜の身体が反対側の壁に打ち付けられる。
「きゃっ…」
感じたこともないような痛みが身体中を駆け巡った。
「桜さま!!!」
「だ、大丈夫…」
咳き込みながらも立ち上がり、刀を構える。
---------痛い…泣きそう……
でも、今のは自業自得だ……っ
刀を振り下ろす直前に、考えてしまった。
真剣で人の頭に斬りかかるとどうなるか。
桜は再び神楽に立ち向かおうとするが、足を痛めてしまったせいで思うように動けない。
「桜さま、無理はなさらないで!」
「ふん…じゃあ大人しく諦めな」
神楽がふわりとこちらへ跳んで来る。
桜は壁に寄りかかりながら逃げていく。
「おいおい、無駄な抵抗はよせよ」
神楽は呆れたように桜の後ろを歩いている。
「桜さま…」
----------捕まったら勾玉も壊されちゃう。
でも、どうすれば……
その時。
寄りかかっていた岩壁が途切れた。
「!!」
人一人分の隙間が開いている。
「あ、おい!!」
----------一か八か、だけど!
桜は隙間に入り込み、奥へと進む。
「私が後ろを見ています!」
小鈴は桜から離れ、少し後ろから追いかけてくる。
しかし、それが間違いだった。
「そっちは崖だっ」
「え?!」
気付けば時既に遅し。
やっと外に出れた─────
そう思うと同時に。
身体がぐらりと傾き、空中へ放り出された。
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