第十章 白霊山
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「もう追手が来ないようですね」
桜はそれを聞くと、息も絶え絶えに速度を落とす。
「つ、かれたぁ…」
「桜さま、すごかったですよ!
あの刀捌き…剣術の嗜みがあったんですね!!」
興奮冷めやらぬ様子で身を乗り出している小鈴を見て、緊張も解れていく。
「ふふ、そんなことないよ。それより最後のあれって……」
「そうです!あれが『桜の舞』です!」
「目を瞑っちゃてよく見えなかったけど、威力すごすぎない?!」
「そりゃ、あの殺生丸さまも欲しがるような刀ですもの。
白霊山の中で妖刀が使えるかは賭けでしたけど、上手くいって良かったです!」
「へぇー…今更だけど、そんなすごい刀を人間の私が使えるもんなんだね」
「その辺りは私も不思議です」
----------私にとっては、今こうして宙を歩いている事も不思議だけどね。
「それより、小鈴は瘴気や聖なる結界は大丈夫なの?」
「はい。大桜は妖怪化した人間の魂が取り憑いたもの…つまり純粋な妖怪ではないので、完全に浄化される事はないんですよ。
とは言いましても、鳥の姿から変化することは出来ませんでしたが…」
「便利といえば便利だね」
「ふふふ、そうですね」
喋っているうちに岩壁に囲まれた回廊が見えてきた。
「あ、やっと別の場所に出られたみたい」
「このまま上まで行っちゃいましょう!」
ザザザザッ…
「!?」
上から何かが近付いて来る。
桜は身を強張らせながら、刀を構えた。
音は次第に大きくなる。
闇が揺らいだかと思うと、突如いつか見た妖怪の大群が桜達を目掛けて襲ってきた。
「桜さまっっ!!」
「分かってる!」
---------------さっきの円の軌道…あれさえ見えたら…
桜はじっと目を凝らす。
妖怪の有象無象に怯みそうになるけれど。
-------------一回出来たなら、次も出来るはず!
「見えた!!」
先刻と同じように、漆黒の軌道に刀を滑らせる。
今度はしっかりと目を凝らした。
辺りは一転薄桃色に包まれる。
----------これは…全部桜の花…?
桜の花弁は渦巻きのように辺りの風を巻き込んで妖怪へ向かう。
たった一瞬で。
妖怪達は消し飛んだ。
「これが、桜の舞…」
「桜さま、誰かいます!」
小鈴の指した先、回廊の一番下の段から数段上の欄干に腰掛けている人影がある。
「あれは…っ!前に私とりんちゃんを攫いに来た…」
「知ってるんですか!?」
「奈落の分身で、名前はたしか……神楽!!」
「へぇ…覚えてくれていたとは有難いことで」
神楽は片手で扇を弄びながら、余裕そうにこちらを見下している。
「奈落から、ここにお前を閉じ込めとけって御命令なんだ。
今度も大人しく捕まっとくれよ!」
神楽が扇を振ると同時に、風が刃となって桜に襲いかかる。
「桜さま、結界はもう期待できません!
どうにか逃げ切りましょう!」
「うん!」
--------------今度はこの人が相手なのね…!
桜は歯をくいしばると、宙を蹴った。
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