第十章 白霊山
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今いる場所は恐らく山の最下部ですから、上を目指しますよ!」
「わかった!」
「私から離れない限り滞空できますから地上と同じように動いてください」
そう言って小鈴は桜の肩に乗る。
桜は頷いて、まずは一歩。
------------映画みたいだけど、本当に宙を歩ける……
一息ついて、上から伸びてくる触手に視点を定める。
そして坂を上るように駆け出した。
------------なんとなくコツが分かってきたかも!
触手がまとわりついてくるが、結界はまだ働いているようだ。
桜は行く手を塞ぐ触手に斬りかかりながら上昇を続けた。
徐々に身体が刀の扱いに馴染んでいく。
平成の世で剣道をしていた頃の感覚が蘇る。
-----------私、剣道をしていた時はすごく解放された気分になってたっけ。
触手を払うのに夢中になる一方で、そんな事をふと考えた。
---------------この感覚……懐かしくて、そして、心地良い。
小鈴は刀捌きが鋭くなっていく桜を驚いた顔で見ている。
----------------私………闇桜で本当に戦える!
それは何度も決意したけれど、上手くできなかったこと。
どこかで恐れていたこと。
この世界に来て初めて、自信がついた気がした。
その時。
漆黒の円の軌道が目の前の空間を切り取った。
思わず足を止める。
----------なに、これ…空間が歪んでる?
同時に闇桜が脈を打った。
「桜さま?」
--------------闇桜は反応しているの?
「桜さまっ、結界が!!」
今度は悲痛な小鈴の叫び声。
我に帰って辺りを見ると、結界は触手を弾くことを止めている。
桜を中心とした球の表面に触手が張り付いていた。
-------------時間がない……
-----------------とりあえず、斬る!!!
桜は円に沿って空間を裂いた。
静寂が訪れ、視界が桃色に染まる。
次の瞬間、
轟音が響いた。
衝撃に瞑った目を開くと、触手が埋めていたそこには上へと続く大きな穴が開いていた。
「きさま……」
足元から奈落の声が聞こえる。
「桜さま、急いで!」
小鈴に促されるまま、その穴へ駆け込んだ。
.