第十章 白霊山
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それから、また二人は会話もなく歩を進めた。
辺りは段々霧が濃くなり、眼前には白い絶壁が迫ってきている。
--------白霊山…だよね。
私は聖なる結界とか何も感じないけど、殺生丸さまは此処まで来たら追いかけられないんじゃ……
焦燥に身を駆られながら、桜は高くそびえ立つ白い山を睨み上げた。
--------いっそ、逃げてしまえば…
「逃げたら殺すように、命じられています」
「う…」
全て見透かされているように、琥珀に釘を刺されてしまう。
----------どうにかしないと。
不安に波打つ鼓動を抑えようと胸に手を当てた。
その時。
-------あ、
指先に硬い感触。
-----------勾玉!!
これで小鈴を呼べたら……
何でもっと早く気付かなかったんだろう!
桜は昂ぶる気持ちを抑え、平静を装いながら胸に両手を当てた。
---------小鈴─────!
《桜さま!?》
「!?」
突如脳内に響いた声に驚き、辺りを見渡す。
《怪しい動きをしないでください!勾玉に念じて貰えば伝わりますから》
慌てて琥珀の方を見るが、特に勘付かれた素振りはなく安堵する。
桜は一呼吸して、勾玉に念じかけた。
---------今、どこにいるの?
《鳥の姿で桜さまの頭上にいます。それより、状況を教えてください》
---------殺生丸さまと離れた隙に、七人隊の人に連れて来られちゃって…
今、奈落の所へ連れて行かれてるみたい。
《奈落…?しかし、この先は白霊山ですが…》
---------私もよく分からないの。
何か考え込んでいるのか、小鈴からの返事が途切れる。
そうこうしているうちに洞窟が見えてきた。
白霊山への入り口のようだ。
《桜さま、私も付いて参りますから従ってみましょう》
---------でも、殺生丸さまが…
《私に任せてください。
それよりも、この先に秘められたからくりが気になります》
---------からくり?
《とにかく、行ってみましょう!》
琥珀が振り返り、洞窟の中へと誘っている。
桜は生唾を飲み込むと、その闇へと踏み出した。
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