第九章 七人隊
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桜が連れて行かれたのは大きな寺だった。
見渡す限り、がらんとしていて人気がない。
---------廃寺?
そう思いながら建物の中を進んでいく。
そして、ある部屋の前で蛇骨は立ち止まった。
「此処で待ってな。後で来るから、勝手なことはするなよ」
「はい」
それだけ言い残すと蛇骨はどこかへ向かう。
----------他の仲間もいるのかな…
そう思いつつ、部屋の障子を開いた。
その時。
----------あれは…?
廊下の突き当たりが黒く焦げている。
桜は近付き指でなぞると、黒い粉が付いた。
「スス…?」
-----------何かをここで焼いたの?
でも、何を……
嫌な予感がして、蛇骨の去った方へと向かう。
すると、そこは境内の正面で、
「!!」
目を見開いた。
境内の中庭にいくつもの焼死体が並べられていたのである。
桜は思わず発しそうになった声を慌てて抑え、境内の方を見る。
そこには蛇骨と、顔に模様の入った僧侶の姿があった。
---------あれも七人隊の一味…?
あいつらがここのお坊さん達をみんな殺したの…?
桜は咄嗟に惨い姿の焼死体から目を背ける。
微かな異臭に顔をしかめた。
---------------ひどい。
この世界では、こんなに多くの人が死んでいるんだ……
震える体を抱きしめる。
当の七人隊の二人は遺体など目もくれずに話し込んでいる。
桜は見つからないようその場に座り、耳を澄ませた。
「───で、霧骨(むこつ)を殺したのはどういうやつだ?」
坊主の方が険しい顔つきで蛇骨に話しかける。
「なんか冷たい目ェしたやつで、犬夜叉の兄貴らしーんだけどよぉ。
男前と言やそうなんだけど、やっぱ俺としては、犬夜叉みてーな可愛気のあるやつのほうがなぁ…」
-----------殺生丸さまのこと、だよね。
さっき、かごめちゃん達を毒で襲ってた人が霧骨っていうのかな…
「でもよ、煉骨(れんこつ)の兄貴。
俺たち、知らされてないことが多すぎねえか?
第一、俺たち七人隊を生き返らせた奈落ってやつ、一体何者なんだよ」
------------奈落!
やっぱり七人隊は奈落の差し金なんだ!
桜が一層体を強張らせると共に、煉骨と呼ばれた男が口を開く。
「奈落に会ったのは大兄貴だけだ。
奈落は大兄貴に四魂のかけらを渡した。おれたちの分もな。
奈落を追う者を皆殺しにしたら、かけらはこのまま俺たちのものになるって約束だ」
「って、もう二人も返り討ちにされてんぜ。
七人隊も残りは四人かよ」
「…七人から二人欠けたら、五人だぞ」
つまり、奈落は四魂のかけらを用いて七人隊を生き返らせ、自らの傭兵の役割をさせているようだ。
「それより蛇骨。
犬夜叉の連れたちは…霧骨の毒を浴びたと言ったな」
「ああ、霧骨の毒はしつけーからな。
奴ら、しばらく動けねえはずだ」
「くくく…面白くなってきたな。
実はな、今…銀骨が犬夜叉たちのところに向かっている。
奴らをこの寺に追い込むためにな」
-----------っ!犬夜叉たちが危ない!
何とかして、この状況を伝えてあげないと……
桜の背中を冷たい汗が伝う。
「ああ、そういや煉骨の兄貴。
俺もその霧骨を殺した犬夜叉の兄貴の女、連れてきたんだ。
奈落の手下の奴が、弱点になるとか言ってただろ?
あいつはどうする?」
不意に出てきた自分の話題に桜の体が跳ねた。
煉骨は少し俯き、考え込む。
が、ふいに何かに気付いたように顔を上げた。
「何の用だ、琥珀」
------------…??
サク…という足音が境内の方から聞こえてくる。
焼死体の向こうから現れたのは、短髪を頭の上で結った、見覚えのある少年。
-------あれは、前にりんちゃんを殺そうとしていた……珊瑚ちゃんの弟…!?
「その女を渡していただきたい」
淡々と言葉を告げる琥珀とは裏腹に、桜の焦りは募る。
-------あの子は奈落に操られて、手先になってるって珊瑚ちゃんが言ってた…
つまり、奈落が私を呼んでる…?!
「いいぜ、俺らも今は他にやる事があるからな」
そう言って、煉骨の視線がこちらへ移る。
桜は慌てて元の部屋へと向かった。
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