第九章 七人隊
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「ええーーーっ桜ちゃん、あの鳥の女の子と会ってたの?!りんも会いたいーーっ」
空を駆ける阿吽の上でりんは頬を膨らませた。
「まあまあ、いつでも呼べるんだし、また今度ね」
桜は笑いながら、りんを嗜める。
頭をぽんぽんと撫でるとすぐに愛らしい笑顔に戻った。
「お前は単純じゃのう」
「何がー?」
「邪見に言われたくないよね~」
「こりゃ桜!」
こんなやり取りはいつも通りで。
頬をくすぐる風が気持ちいい。
「ねえ邪見さま、これから行く白霊山って神聖な山なのに、なんで奈落がいるかもしれないんだろうねぇ」
「それが分からんから調べに行くんじゃろうが……まあ、心当たりがあるとすれば、七人隊の事じゃな」
「「七人隊?」」
桜とりんはきょとんとした顔で聞いた。
「あぁ。七人隊とは、七人の雇われ兵隊の人間どものことじゃ。
どの城主の家来にもならず、戦を渡り歩き、仕事を引き受けていたとかいう話じゃ」
「その人達強かったのー?」
無邪気に尋ねるりんに、邪見は踏ん反り返りながら答える。
「殺生丸さまに比べたら、どうってことないわい!
まあ人間どもからしたら、七人で百人の兵隊の働きをすると言われていたそうじゃが」
「それでそれで?」
「うむ。ただ、その殺し方がひどく残忍でな。
根っからの人殺しが好きな外道集団って奴じゃ。
それで、その非道ぶりと強さに恐れをなした大名たちが七人隊の討伐に乗り出したんじゃと」
「それ、うまくいったの?」
「まあ、相当てこずったらしい。
じゃが、多勢に無勢。終いには北の寒村で捕らえられ、首を打たれ葬られたという事じゃ」
へぇ~と、桜とりんは頷いた。
「でも、何でそれが今回の白霊山の事と関係あるの?」
「どうも最近、その七人隊が祀られている塚が真っ二つに割れたらしいんじゃ。
それで、人間どもは七人隊の亡霊が逃げ出したと騒いどるらしいな」
「きゃあーーっ」
りんが桜にしがみつく。
桜は大丈夫と笑いかけるも、その顔は引きつっていた。
---------妖怪の次は人間の亡霊かぁ…。
その時、
「見えてきたぞ」
邪見が前方を指差した。
剥き出しの白い岩肌。
それを覆うように茂る緑。
「あれが、白霊山…」
堂々とそびえ立つその山は、霧を纏っているせいか、神秘的で美しい。
「本当に神聖な山って感じだね」
桜が素直な感想を漏らすと、邪見はふんと鼻を鳴らし、腕を組む。
「霊山じゃからな。じゃが、儂等妖怪からしたら気分の悪い山じゃ」
「腐った根性を浄化してもらえるんじゃない?」
「ド阿呆!」
「あっ殺生丸さま」
「ひょ!?」
はしゃいでると、ふいに殺生丸が阿吽に寄ってきた。
「毒の気配がする。
りんと邪見は安全な所に隠れていろ。
桜は共に来い」
「はい!」
桜はすぐに気を引き締める。
「桜ちゃん、殺生丸さま、気をつけてね~」
「儂も行きたかった…」
ぐずる邪見をりんが慰めていた。
---------あれ?でもどうやって着いていけば良いんだろ…
ふとそう思った瞬間、
「!」
殺生丸は桜を軽々と抱き上げる。
----------う…
前もやってもらったけど……
緊張するっ…!
桜は体が熱くなるのを感じながらも、落ちないように殺生丸にしがみつく。
「こりゃ桜!足を引っ張るでないぞ!」
「行ってらっしゃーい!」
そんな声を背中で聞きながら、白霊山へ向かって殺生丸は空を蹴った。
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