第七章 二つの世界
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「親御さんの事は心配しないで。頑張ってね」
「はい……本当にありがとうございます」
桜はかごめ、犬夜叉と一緒に、祠の井戸の前に立っていた。
かごめの母が見送りに来てくれたのだ。
かごめの母は今朝の作戦についても助言をくれたり、これからも力になってくれると言ってくれた。
----------私は色んな人に支えられている。
桜は胸の中にぽっと火が灯ったように、温かな気持ちになった。
「先輩、行きましょうか」
「うん。おばさん、本当にお世話になりました」
「いつでも、また来てね。気をつけて」
「はい」
ぺこりと頭を下げ、井戸の中を見下ろす。
---------この井戸の向こうの世界で、私は色んな事を見つけていく。
お母さん、お父さん、私…行くね…!
そして、井戸に飛び込んだ。
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とんっ
足下にしっかりと地面を感じる。
見上げると、綺麗な青空。
犬夜叉におぶさり、ひとっ飛びで井戸の外へ出た。
祠など影も形もない。
井戸を取り巻く自然に、ここが異世界であることがわかる。
---------戻って来たんだ。
「迎えが来たみたいだぞ」
「え?」
犬夜叉が林の奥をじっと見つめる。
「!」
その銀髪を風に遊ばせながら、その人は現れた。
「殺生丸さま!!」
離れていた間、何度思い描いただろうか。
------------ずっと、会いたかった…
「先輩」
かごめが優しく微笑んでいる。
「かごめちゃん…」
「お気をつけて下さいね。困った事があったら相談乗りますから!」
「かごめちゃんこそ、色々ありがとう。犬夜叉も」
「けっ…無茶はすんじゃねーぞ」
「元の世界に帰りたくなったら、いつでも言って下さい」
-----------二人とも、本当にいい人だ…
「本当にありがとう!珊瑚ちゃんや法師さま、七宝ちゃんや楓おばあちゃんにもよろしく言っといて!」
「はいっ」
「またねーー!」
「また会いましょう!」
桜は殺生丸の元へ小走りで寄って行った。
殺生丸の金色の瞳はじっと桜を捉えている。
--------色々ありすぎて、色々言いたくて、言葉が出ない…
桜はおずおずと殺生丸を見上げると、躊躇いがちに口を開いた。
「ただいまです、殺生丸さま」
「…もういいのか」
殺生丸の普段と変わらない様子に胸をなで下ろし、柔らかな笑みを浮かべる。
「はい、これからまたお世話になります!」
「……行くぞ」
「はい!」
---------殺生丸さまも、やっぱりいい人だ
桜は殺生丸の隣を歩く。
時折顔を覗くと目が合って、目をそらす殺生丸に桜は笑みを漏らす。
----------------殺生丸さまのこと、最初は怖くてたまらなかったけど、今は私にとっての拠り所になってるんだ……
ぼんやりと、そんなことを思った。
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