第七章 二つの世界
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「────ってわけで、私と犬夜叉、珊瑚ちゃんと弥勒さまと七宝ちゃんで四魂のかけらを集めながら、奈落を追って旅してるんです」
「へぇー…」
ゆっくりと時間をかけて、桜はかごめから全てのいきさつを聞いた。
50年前に奈落が犬夜叉と桔梗という四魂の玉を守る巫女との仲を引き裂き、桔梗は最期に犬夜叉を封印してから命を落とした事。
あらゆる願いをかなえるという四魂の玉を手にし、戦国の世にやって来たかごめが犬夜叉の封印を解いた事。
悪い妖怪に父を殺された七宝という狐の小妖怪、奈落の呪いで代々受け継ぐ風穴を持つ弥勒という法師に、弟や家族を奈落に殺された妖怪退治屋の珊瑚。
---------みんな、それぞれ色んな事を抱えてるんだなぁ…
途中から話の輪に加わった弥勒や珊瑚、七宝を含む一同を見渡す。
---------法師さまも、ああやってると真面目な人なのに…
弥勒は黙っていると誠実そうな人だが、先ほどは桜を見るなり子を産んでくれと口説き、珊瑚に殴られていた。
「ん?どうしました?」
「えっ!いや、何も!」
---------つい、じっと見てしまった…
それにしても、かごめちゃんの制服は……
「かごめちゃんの中学校って…」
「そうです!桜先輩の後輩です。桜先輩のお噂はよく聞いていました!」
--------やっぱり!
「って、噂?!」
「…かごめ、桜とは知り合いじゃったのか?」
「桜先輩は去年まで一緒の学校にいたんだけど、頭が良くて、剣道も強くて、有名だったの!
才色兼備でみんなの憧れの的だったんだから!!」
「そんなことないよーっ」
桜は苦笑して、かごめを制す。
周りの者はかごめの興奮ぶりに目が点になっていた。
「私なんてこの世界じゃ殺生丸さまやりんちゃんに助けられてばっかだし…」
「あ、そのことなんですけど…先輩はやっぱり殺生丸に着いていくんですか?」
「え?ええ、まぁ…殺生丸さまにも色々ご恩があるしね」
「そうですか…」
かごめの顔に複雑な表情が浮かぶ。
他の者達も何とも言えない顔をしていた。
---------あれ?何なんだろう、この空気…
「だああーーーっまだ信じらんねぇ!」
バンッと犬夜叉が床を叩く。
「あの殺生丸の野郎が人間二人も連れてやがるなんてよ!」
うんうん、とみんな頷く。
犬夜叉は以前何度も殺生丸に殺されかけたと聞いた。
「おめー、取って食われるんじゃねーか?」
「は!?」
「犬夜叉おすわり!」
ドシャっと犬夜叉が地面に叩き付けられる。
桜はあっけにとられてピクピクしている犬夜叉を見たが、周りは慣れているようだった。
---------お、おすわりって、何かの呪文だったの…
「でも、私も信じられませんな。
以前はかごめさまを殺す事すら何も感じない様な方だったのに」
「そうなんですか!?普通に優しいと思うんですけど…」
「「どこが!!!」」
かごめと犬夜叉にそろって顔の近くで怒鳴られ、桜はまたもや苦笑する。
「まぁ、それはともかく」
楓が口を開いた。
楓は桔梗の妹らしい。
「何にせよ、この世界に来てしまったという事は、おぬしにも成すべき事があるんじゃろうか」
-----------成すべき事…
「わかりません…闇桜について詳しく聞くために、桜花の郷という所へ向かっている最中なので…」
「桜花の郷…耳にした事はあるな…」
「あたしも。何でも、妖怪が住んでいるとは思えない程、美しく清らかな場所だって。
一年中散らない桜が咲いているんじゃないかな」
膝の上に抱えた雲母という猫を撫でながら、珊瑚が続いた。
「それより、桜さま。元の世界へは帰らなくていいんですか?」
「……!」
弥勒の言葉に桜は動揺を隠せなかった。
言葉に詰まる桜を全員が不思議そうに見るめる。
---------帰りたい…けど…
「家には、帰れません」
「…どうして」
「向こうに帰ったら、きっと親がこの世界に帰してくれないから…
闇桜が私を連れて行くかもしれないけど、そしたら殺生丸さまの元へ帰れるかどうかもわからない…」
----------私の両親が許す訳がない…
桜は顔色を曇らせた。
「よし!」
かごめが手を叩き、立ち上がる。
「私の家に来ませんか?桜先輩」
「え…?」
桜は目を丸くしてかごめを見上げた。
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