第六章 兆し
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ドォォォォン
バキバキ……
ゴォォォォォォォォォ
「────ん…」
地を揺るがす様な轟音に桜は意識を取り戻した
「………ここは………」
周りには誰もいない。
上体を起こすと鈍い頭痛が走る。
---------神楽って人が現れて、奈落に捕まって…
それから………
頭を抑えながら記憶をたどるも、よく思い出せない。
髪の長い男の顔がぼんやりと浮かぶだけだった。
ドガガガガッ
「!」
再び大きな音が聞こえてくる。
----------さっきから何だろう…
重い体を引きずる様に部屋の襖を開け廊下を歩いた。
そして、部屋を出て、最初の角を曲がった所で桜は目を疑った。
「殺生丸さま!?」
先ほど脳裏に浮かべていた奈落の上体が巨大な肉塊から生え、その触手が殺生丸を四方八方から囲み、殺生丸を包み込んでしまったのだ。
---------どういうこと!?
混乱し、足がすくんでしまった、その時。
「奈落!!それがてめえの本性か!!!」
真っ白い髪がたなびき、真っ赤な着物が現れた。
「くらえ、風の傷!!!」
見た事もない様な太刀が宙を切り、突風では形容しがたい様な風が男の肉塊へと向かう。
結界というのだろうか、男を守るように張られていたものを消し、男を切り刻んだ。
--------殺生丸さまは!?
先ほど彼を包んでいた肉片がその威力で崩れ、中から無傷の状態で現れた。
「殺生丸さま!!」
桜は一歩踏み出す。
殺生丸は桜に気付くと、「来るな」と短く言い放った。
殺生丸の大声に驚いた桜は、瞬時に立ち止まる。
赤い着物の男はあっけにとられた顔で桜と殺生丸を交互に見つめていた。
よく見ると、その白い頭には犬耳が生えている。
---------もしかして、あれが犬夜叉…?
辺りには桜が感じられる程緊張した空気が訪れる。
「ふっ…奈落よ、皮肉だな。
私を吸収しようとして包んだきさまの肉片が、犬夜叉の風の傷の盾になるとは」
奈落を見下げた調子で殺生丸は口を開く。
「クク…犬夜叉、きさま……結界を切れるようになったのか」
----------やっぱり、あれが犬夜叉!
そして、殺生丸さまを吸収しようとしたって…?
「けっ、てめえ今度こそ逃がさねえぞ。……覚悟しやがれ!!!」
犬夜叉が刀を振りかぶり、奈落の元へ走り出した。
しかしそれより早く殺生丸が剣を振るう。
「こやつは私の獲物だ」
瞬時に奈落の体が粉砕されていく。
その刹那、大量の白い液体が奈落を取り巻いた。
「瘴気!!」
とっさに殺生丸と犬夜叉は身を退く。
そして大量の瘴気をまとったまま、それは宙へ浮かび上がった。
「馬鹿が…私から逃れられると思っているのか」
殺生丸の身から妖気が溢れ出る。
その殺気を見守る桜もひしひしと体で感じた。
「ククク……殺生丸さま。
お連れの小娘を早く迎えに行かれた方がよい……
りんは今、琥珀という者と一緒にいる。
それがどういう事か、犬夜叉、きさまなら想像がつくだろう…」
そして、奈落の姿は見えなくなった。
「おう、殺生丸。てめえ、人質でも取られてんのか?」
犬夜叉が刀を収めながら殺生丸に聞く。
「って、おい!」
「!」
殺生丸は地を蹴ると、ふわりと桜の側に立つ。
「殺生丸さま…」
桜は不安げにじっと殺生丸を見つめた。
殺生丸はその手を桜の頬に当てる。
-------!
「無事か」
「はい……」
先ほどまでの緊張が解けていく代わりに、桜の鼓動を打つ速さは上がっていく。
----------せ、殺生丸さま…近い……
殺生丸は桜を右手で抱き寄せる。
桜の体は殺生丸の常に身につけている毛束にうずめられた。
「!?!?」
桜は顔を赤らめながら目をぐるぐると泳がせる。
「せっしょ…
その途端、地に足をつけていた感覚が消えた。
「!!」
「しっかり捕まっていろ」
そのまま二人は上空へ舞っていくのだった。
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