第一章 出会い
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「ばいばーいっ」
桜は友達に手を振ると、鞄と竹刀を担ぎ直して歩き出す。
しかし、その顔に先程までの満面の笑みはなく。
一つ大きな溜め息をもらした。
彼女の高校は都内でトップを争う進学校。
本当はもっと上位の名門私立校を志望していた。
両親にそう望まれていたから。
ただ、桜の学力では多少難があり、最終的に安全圏の学校を選んだのである。
此処で頑張ろう、そう決意して入学してから早3ヶ月。
一週間後のテストを考えると、嫌でも前回のテストの時を思い出してしまう。
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------------『何、このひどい点数!』
------------『こんなんじゃ、医者なんて、夢のまた夢じゃないか』
------------『私達の子どもはあなただけなのよ?』
------------------「ごめんなさい…」
脳裏に蘇る声を吹っ切るように桜は立ち止まった。
「勉強、しなきゃ」
---------分かってる。分かってる、けど…
親は一人娘の桜に祖父の代からの病院を継ぐ事を望んでいる。
だが、それに従うだけの人生に最近は少々の反発を感じていた。
-------------私の生きる意味って何なんだろう。
どこに向かえば良いんだろう。
何度目かの自問。
その時。
_____ドクン...
心臓が大きく脈を打った。
「…?」
____ドクン..........
徐々に締め付けられる胸と熱くなる体。
吐き気も感じ、思うように動かない体を叱咤して、路地裏に入り込む。
そして、物陰にしゃがみこんだ。
「…っ…はぁ……はぁ……」
_______ドクン.....ドクン.................
波打つ心臓ははち切れそうで。
息も上がっている。
----------私、どうなっちゃったの…っ?
意識も朦朧としてきた刹那、
『時が、満ちた..........』
そんな声を聞き、とうとう意識を手放した。
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