第五章 拉致
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その晩。
ある人里の近くに桜とりん、邪見を残し、殺生丸はどこかへ出かけて行った。
どうやらよくある事らしい。
そこで邪見を見張りにし、桜とりんは人里の畑の果実を食べていた。
----------うぅ…人生で畑荒らしなんてすることになるとは思ってもみなかった…
罪悪感からあまり食が進まない桜とは逆に、りんはがふがふと食べていく。
「桜ちゃん、これ何個か持って行こうよ!」
「えぇっいいのかな…」
「あははっちょっとくらい大丈夫だよ。邪見さま、ちゃんと見張っててねー!」
返事の代わりに邪見の盛大なため息が聞こえる。
殺生丸に着いて行けなかった事に不満があるようだが、そちらは気にしないようにする二人であった。
--------ふふっやっぱりりんちゃんはたくましいなぁ
そう思いながら、また一口果実をかじったその時、
ゴオオォォ
すさまじい風が吹いた。
「きゃっ」っとりんは地面にうずくまる。
「りんちゃんっ」
桜はりんの方へ駆け寄りながら、邪見の方を見ると。
「お、おまえは………」
邪見は血相を変えて───といっても、もともと緑の顔なのではっきりと分かる訳ではないが───口を大きく開けていた。
その視線の先に、一人の女性が立っている。
扇を持ち、髪を頭のてっぺんで結んだ若い女の人。
耳に飾りを付けたり、化粧をしたり、何となく華やかな出で立ちだ。
「桜ちゃん、あの人神楽っていう奈落の味方!気をつけて!」
「奈落!?」
---------奈落って、前に聞いた妖怪の事!?
それって、ちょっと危ないんじゃ……!
「ふん…不用心だな、殺生丸のやつ。連れから目を放すとは」
「っ逃げるのじゃ!」
邪見の声で桜ははっとし、りんの手を引いて走り出す。
「逃がさねえよ」
シャッという音と共に背後から突風が吹く。
「きゃっ」
その風圧に桜とりんは転ばされてしまった。
そして桜が後ろを振り向くと、すぐそこにその女、神楽はいた。
「知らない間に一人増えてるじゃねえか……殺生丸も物好きだねぇ」
「っ……何の用ですか!」
桜はりんをかばうように立ちはだかる。
「奈落からの命令さ。その小娘を連れてこいってよ」
「なっ…」
「あんたは想定外だからな。邪魔するなら殺すぞ」
「……っ」
----------この人の後ろにいる邪見は私達を巻き込まないようにするため、何もできない…
だったら……
闇桜しか、ないじゃない───!
「大人しくそこをどきな」
------------今、りんちゃんを守れるのは、私だけ!
りんは怯えた目で桜を見つめる。
「あなたにりんちゃんは渡さないっ!」
神楽を睨みつけ、桜は漆黒の刀を抜いた。
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