第五章 拉致
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「りんちゃーんっ、キノコがいっぱいあったーー!!」
「本当に!?って桜ちゃんっ毒キノコも混じってるよーーっ!!!」
「え゛っっ嘘っっ」
「その青緑の!!」
「きゃあああっっっっっ」
「やかましーーーーーーーーーい!!!!」
邪見の怒鳴り声にりんと桜は耳を塞いだ。
桜がこの世界に来て早くもひと月を迎えようとしている。
「邪見うるさいー」
「あほうっ貴様に言われたくないわっっ」
「りんちゃん、邪見ならこのキノコ食べれるんじゃない?」
「そっか!邪見さま妖怪だもんね!!小さいけど!」
「こりゃ!りん!なんと失礼な!わしはこう見えても殺生丸様にお使えして「「邪見/邪見さまやかましーーいっ!」」
桜とりんは声を揃え、そしてあははっと笑い合った。
邪見は飛び跳ねながらきーきーと何かを叫び、その様子を殺生丸はいつものように少し離れた木の下で眺めている。
桜は安らぎさえ覚えるほど、この日常に馴染んでいた。
時は正午を過ぎたばかり。
一行は食糧を探しがてら休息をとっていた。
「今日ものどかなお天気だなぁ」
再び木の実やきのこを探して散策している桜は独り言を呟く。
幸い、闇桜は今日までその陰をひそめていて、桜も穏やかな毎日を送れている。
----------このまま何もなければいいんだけど…そういう訳にもいかないか。
ふぅっと息を吐いた。
----------今考えても仕方ないよね!
うんうんと一人で頷く。
丑寅の方角、つまり北東へ向かって一行は歩を進めている。
この先に桜花の郷なるものがあり、何かしらの手がかりを得られるはずだ。
そんなことを考えながら歩を進めていたその時、
「霧?」
前方に霧の様に白くもやがかかっているのだ。
桜は恐る恐る近づいて行くと、すぐにその理由がわかった。
「温泉…!」
現代の露天風呂のようだが、これは本物の天然温泉だ。
その白く濁った湯を手ですくい、桜の顔がほころんでいく。
なにしろ、この世界に来てから、温かいお湯につかるなんてことはなかったのだ。
桜は急いで戻り、殺生丸の元へ駆け寄る。
「殺生丸さまっ!」
「……なんだ」
刀々斎のもとを訪れて以来、桜は殺生丸ともだいぶ会話が出来るようになった。
「温泉に入ってもいいですかっ!!」
「こりゃ桜!また旅が止まるじゃろが!」
「りんも温泉入りたーいっ!」
どこからか邪見とりんも集まってくる。
わいわいと桜と二人に囲まれた殺生丸はついと顔を逸らし、「好きにしろ」と短く言った。
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