第四章 決意
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険しい岩場を桜と殺生丸は登っていく。
--------この世界って、本当に岩場とか森とかばかり…って、当たり前か…
桜の額に汗が滲み出した頃、二人はやっと坂を登り終えた。
慣れた様子で歩く殺生丸を追いながら、桜は辺りをきょろきょろ見渡す。
と、ふいに立ち止まった殺生丸の背中にぶつかった。
「すいませんっ」
「此処だ」
「あ、はいっ」
------------………って、え?
「ほ、骨っ?!」
そう、そこにあるのは大きい魚の白骨。
--------おっきい……
「あっ」
構わず、その骨に歩み寄る殺生丸。
唖然とする桜に目もくれず、早く来い、とだけ言った。
-----------二人きりだと、緊張するなぁ…
それに、こんな事思いたくないけど、
思っちゃ駄目なんだけど、
少し殺生丸さまが怖い。
駄目駄目、と桜は小さくかぶりを振った。
それは、あの日から何度目かの事。
----------きっと、あの時も何か理由があったはず。
こんな事で、心に闇を作っちゃ駄目!
言い聞かせるように、唇をギュッと噛んで、殺生丸を追う。
やがて、白骨の中に小さなスペースを見つけた。
「刀々斎」
そこには、この世界で二番目に出会った老人の変わらない姿があった。
「殺生丸か。それに、桜だったか?」
石の台や釜、数本の槌や刀などの武器が並ぶ殺風景な場所の真ん中で、彼は胡座をかいている。
「こんにちは~」
---------この人のおかげで今こうやって生きていけてるんだもんなぁ。
そこは感謝しても仕切れないくらいだよ…
その時。
「おぉ!この女子が、闇桜の!」
ふいに、聞き慣れない声が聞こえた。
それは刀々斎の方からで、桜は眉をひそめる。
「此処じゃ此処じゃ!」
---------あれ?
刀々斎さんの肩の上で、何か跳んでる?
目を凝らして一歩近寄ってみる。
「そうそう!」
---------んんーっ?
「きゃっ!?」
視界に写ったのは、大きな目、白髪頭、蚊のような尖った口に白く細長い触角のような髭を生やした丸顔。
「驚くでない。儂はノミ妖怪、冥加じゃ」
「………」
その時、目の前を風が掠めた。
というのも、殺生丸が素早く、的確に手を延ばして、その冥加という妖怪をつまんだからだ。
「知っていることを話せ」
殺生丸は普段より更に低く言うと共に、その妖怪をプチっと潰して放った。
「えっ」
ピラピラと紙のようになった冥加が舞う。
殺生丸さまぁ~と情けない声が微かに聞こえるので、生きてはいるのだろう。
-----------大丈夫…なのかな……
ノミなんだったら大丈夫…だよね…?
根拠のない憶測と共に、桜は刀々斎の方へ向き直ることにした。
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