第三章 闇
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それから、また長い道のりが始まった。
しかし桜の心には微塵の不安や憂鬱もなく。
りんや邪見との会話を楽しみ、時折前を進む殺生丸の背中を見つめるのだった。
時間が経つのは早いものだ。
正確な時間は分からないが正午はとうに過ぎただろう。
桜はこの時代で昼食はとらないことを知り、空腹と戦っていた。
「桜ちゃんの世界ではお昼にもご飯を食べたの?」
「うん!朝昼晩の三食だよ」
「贅沢じゃのー」
「お腹空いたぁ~」
「さっきからそれしか言っとらんじゃないか、おぬしは!」
「邪見さま、慣れないから仕方ないよ」
「りんちゃん優しい…っ!」
そんな他愛ない会話が続く。
「邪見」
それを打ち切ったのは立ち止まった殺生丸だった。
「はっ!何用でございますかっ!」
「桜に何か食わせろ。その後、桜を連れて出る。
貴様は此処でりんと待て」
「は…桜と……?」
訝しげな邪見に、殺生丸は早くしろと言わんばかりの視線を送る。
邪見はそれを素早く察知すると、かしこまりましたぁっと悲鳴のような声で、そそくさと動き出した。
---------殺生丸さまとどこかに行くってこと?
桜は首を傾げるのだった。
「すぐに食べられるのは木の実か芋くらいしかないが良いな?桜」
阿吽に積んである荷物を漁りながら、邪見は言った。
「食べれるなら何でも良いです」
「お。果実じゃ。ほれ、これでもさっさと食べろ」
「ありがとうー!」
大きな実が手渡される。
「…これ、どうやって食べるの?」
「丸かじりに決まっとるじゃろーが!」
「りょ、了解……」
そして、大胆にかぶりつく。
--------結構美味しいじゃん
桜は夢中になって食べ始めた。
「邪見さま、りんも食べたい!」
「おぬしは我慢せい!桜はこれから用があるのじゃ。
しかも、殺生丸さまがわざわざ連れて行く程の重要な…」
-------申し訳ないなぁ…
でも、何なんだろう?
そういえば、さっきも体力を使うなって……
「まさか、戦う、なんて」
食べるのを中断して、桜は呟く。
「えぇっ桜ちゃんが?!」
「……わかんない」
----------あり得なくはないよね。
昨日、刀になれって言われたわけだし。
再び果実をかじり始める桜。
空腹のせいか、これからの予定に気を取られていたせいか、あっという間に食べ終えてしまった。
「じゃあ、行って来るね!」
「頑張ってね~!」
「殺生丸さまの足を引っ張るでないぞ!」
「それは難しいかも…」
苦笑しつつ、もう一度行ってきますと言って、殺生丸の元へ駆け寄っていった。
「殺生丸さま。お待たせしてしまい、すいません」
木の根元に腰掛けていた殺生丸は無言で立ち上がり、「着いて来い」と短く告げる。
桜はそれに従うのだった。
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