第三章 闇
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朝食後、一行は丘を発った。
今日は空の旅ではなく、歩くらしい。
「よーし、頑張るぞ!」
「あはは、桜ちゃん、しんどくなったら阿吽がいるから大丈夫だよ~」
「あ、そっかぁ!」
笑いあう二人を邪見がやかましく急かすのだった。
そして、丘を下り、林の中を歩くこと数時間。
途中りんたちと会話を交わすも、長時間舗装されていない道を歩くことに慣れない桜は、息も絶え絶え、足はふらついていた。
「桜ちゃん……大丈夫?」
「え?!うん、大丈夫だよ~」
そう言って微笑む目は笑っていない。
邪見はなってないのぅ~なんて桜を冷やかしながら、殺生丸の少し後ろを歩いている。
「阿吽に乗って良いんだよ?」
りんが心配そうに桜を見上げた。
それは何度目かの提案だ。
しかし、全て桜は断ってきていた。
--------小さいりんちゃんが頑張ってるのに、私だけ甘えられないよ…
桜は今回もやんわりと断わった。
だが、桜がこのまま歩き続けられるかも怪しく、りんは少し困った素振りをみせている。
「でも、いつもの調子だと休憩はまだだから…」
乗った方が良いよ、と続けようとした時。
「しばし此処に留まる」
と、前を歩く殺生丸が告げた。
きょとん、としたりんの隣で、桜はどさっと道端の木陰に腰を下ろした。
「助かったーーっ」
「良かったね、桜ちゃん!」
「うん!!」
邪見はだいぶ動揺していたが、桜をちらと見ると、納得したように溜息をついた。
桜はそれに気付く。
-----------私、迷惑かけてるかも…自分のせいで旅が遅れてる…よね…
次は大人しく阿吽に乗っておこうかなぁ…
ため息をつき、表情を曇らせた。
「あっ殺生丸さま?」
すると、隣に腰を下ろしたりんが声を上げる。
見ると目の前に殺生丸が立っていた。
----------またしても不意打ち…殺生丸さま、気配消しすぎ!
桜は驚きつつ、内心苦笑した。
そして立ち上がろうとすると、良い、の一言で制された。
「桜、暫く阿吽に乗れ。体力を使うな」
短くそう言うと、殺生丸は踵を返し、離れていく。
----------あぁ…やっぱり迷惑かけてた……
そう項垂れる桜。
しかし。
「桜ちゃん……すごいっ!」
りんによる驚きと感激が入り混じった言葉に顔を上げた。
「えっ?」
見ると、邪見も目をこれでもかと見開いて桜を見つめている。
「な、なに…?」
桜が戸惑いを隠せないでいると、邪見が寄って来て小声でまくし立てた。
「あの人間嫌いの殺生丸さまが、出会って間もないお前のことをら案ずるなど信じられん!
桜っ一体何をしたのじゃ?!」
「りんもそう思う!殺生丸さまは優しいけど…りんも初めて会った頃はあまり受け入れてもらえなかったっていうか……」
---------そ、そうなの?
「た、多分、私は闇桜を持ってるからだと思うよ?
殺生丸さまにとって、闇桜はとても大切な物だと思うし…」
桜が慌てて答えると、りん達はあぁ!と納得したようだ。
だが、桜は内心複雑だった。
-------------うっかり昨日は浮かれちゃったけど、優しい言葉をくれるのは私が闇桜を持っているからなんだよね…
言葉にしてみると、ちょっと虚しいかも…
うーん、とうなって、桜は空を見上げた。
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