１手紙



教室で進学する高校について話している人、もう合格通知が届いていると言う人がいる中、私はまだ進学したい高校が決まっていない。









＿＿＿＿＿ある日のこと。




登校の前にポストに何かが入っていることに気が付いた。





覗いてみると、そこには白い封筒が１つだけ。差出人の名前も住所も書いていない。


この家の住所と私の名前だけが書かれていた。








私はその封筒をポケットにしまい学校へ向かった。


















学校から帰ると、すぐに自室の向かって白い封筒の中から２枚の手紙を取り出した。





１枚目の手紙の裏には、立花幸夫（たちばなゆきお）。


６年前に突然音信不通になり、ゆくえが不明なままの父の名前だった。





手紙に書かれた言葉は、そこまで長くはない。

ふふ、お父さんらしいな。








【進学に迷っているならこの住所から通える高校にしてみたらどうだ。俺の部屋を使うと良い。歩いて行ける距離にも高校があるから、寝坊しても平気だな。】








なんで突然こんな手紙を送ってきたのだろう？



ああ、私の悩み事はお見通しということか……。








もう１枚の手紙には、父の言うの住所が書かれている。




もしかして父はここに？

父に会えるかもしれない。











この手紙の事は母や姉には話さなかった。


わたし宛に書いたことには何か意味があるのかもしれない。








私はその近くの高校を調べ、制服が可愛いそんな気持ちだけで花咲学園高等学校の入試試験を受けた。無事合格だ。









高校から合格通知が家に届いたとき、初めてその事実を知った母はひどく怒っていた。












「ここからなんて通えないわ！なんで勝手に決めたの！」








「ごめんなさい。でもどうしてもここに通いたい…。一人暮らしの費用大丈夫だから。お願いお母さん。」










私は静かに人生で初めての土下座をして、母にお願いする。






＿＿＿＿しばらくして母は大きなため息をついた。










「……分かった。でも、そうあなたが決めたのなら最後までやり通すこと、それが条件よ。」









「……ありがとう。お母さん。」









「本当に何を考えているのか分からない子ね。たまに連絡しなさい。」









「名前、一人なんて本当に大丈夫？」









「大丈夫だよ。立派になって帰ってきた私を楽しみにしててねお姉ちゃん！」









「そっか、いつの間にか大人になっちゃって…。楽しみにしてる。」








姉は優しい笑顔で私の頭をなでてくれた。







母を無事説得でき、新生活が始まる。