(※全小説共通です)
第1章 種
名前設定
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夕食のあとにシャワーから出ると、ちょうどベッドサイドで充電していた携帯が鳴っているところだった。
「はい、もしもし」
「もしもし、first name?ママだけどね」
「あっ、ママ!元気~?」
「うん、元気よ。お兄ちゃんも大福もみんな元気。お隣さんに夏ミカンをたくさん頂いたからfirst nameに送ってあげようかと思ってかけたの」電話の向こうでfirst nameの母は言った。おそらくあちらも夕食後なのだろう、テレビのバラエティ番組らしき音声や、ミャーオという大福の鳴き声と一緒に、くつろいだ夜のリビングルームの雰囲気が伝わってくる。
「ところで、調子はどお?お盆に来てくれるアルバイトの人は見つかった?」
「うん、見つかったよ!」first nameは笑顔になって言った。「今日ちょうど貼り紙を見て面接に来てくれて。みんなぶどうが丘学園の高校生なんだって」
「あら、よかったじゃない!」first nameの母も嬉しそうな声の調子になって言った。「みんなせっかく来てくれるんだから、ママその子たちに何か差し入れ送ろうかなあ。休憩時間に食べられそうなお菓子とか。ぜんぶで何人いるの?」
「4人!その場で3人決まったんだけど、人手がもっと必要ならもう一人友達誘いましょうか?ってみんなが言ってくれて、虹村君っていう人も増えたの。今日の夕方、その中の東方君っていう人がさっそく店に電話をくれて『4人で参加します』って教えてくれたの。多分帰ってすぐに聞いてくれたみたい」
「へ~、みんな優しいね!」first nameの母は言った。「アンタ良い時に良いところにお店だしたわね。きっとおじいちゃんとおばあちゃんが応援してくれてるのね~」
「うん、それは本当にそう思うよ・・・あっ、ねえねえママ!」
「ん?」
「私がもうずっと前に、このあたりで迷子になったの覚えてる?」とfirst nameは言った。「おじいちゃんのお見舞いにこっちに泊まりに来てた時。その時に私を助けてくれたお兄さんに、その東方君がそっくりなの!」
「え~、そうなの?」first nameの母は言った。「確かfirst nameのことを交番に連れて行ってくれた高校生ぐらいのお兄さんでしょ?その人のことならfirst nameが何回も何回も、何っ回も話してたから覚えてるよ。クレヨンで似顔絵まで描いてたわよね~。”すっごいかっこいいお兄ちゃんだった~!”って。え~、じゃあ、今日来てくれたその男の子がfirst nameの『あこがれのお兄ちゃん』なのかしら!?」
「私もそう思ったよぉ!”えっ、お兄ちゃん!?”って言いそうになっちゃった」とfirst nameは言った。「でも私、あの時まだ小2とかだよ?あれから10年・・・12年かな?経ってるのに、同じ人のわけないよね。でも、本当にそっくりだったの。髪型とか、ピアスとか、長い上着の学生服とかも」
「知ってる。長ランとか洋ランって言うんだよ、それ」
「ちょうらん?ようらん?それは、蘭の花じゃなく?」
「蘭の花じゃなく、長い学ラン、略して長ラン。それにドカンをあわせる」
「どかん?」
「改造学ランが好きな子のなかでも、長ラン派はドカンっていう、幅広のズボンをはくことが多いの。短ラン派はボンタンっていう、裾が細くなってるズボンをはく子が多いわね。それとfirst name画伯も描いてた髪型、あれは、リーゼントっていうのよ。前髪はぎゅーっと引っ張り気味にヘアドライヤーで乾かして、そこからポマードで高く盛り上げてサイドの髪は後ろにコームで流す」
「へえ~!さすが美容師、よく知ってるね~」
「まあ、こっちのあたりは特にその手の文化のメッカだからねー。初めてオーダー受けた時は、それなんですか!?ってビックリしたわよ」とfirst nameの母は笑った。そして、「でもああいう子たちって見た目は怖いけど、話してみると優しかったり、情に厚かったりするのよね。困ってる人を当然のように助けたり・・・なぜか結婚や出産がやたら早かったり」と言ってまた笑った。「やっぱり、とにかく目立つ特徴があの手のイカツイ髪と学ランよね。改造学生服を専門に扱ってるお店だってあるのよ。ボタンとか刺繍の飾りとか・・・今日の、えーっと、ヒガシカタ君?も、きっとそういうスタイルしてたんでしょう?」
「してたしてた!まさに【あの人】みたいだったよ。何か雰囲気やしぐさも似ていた気がする。すごくかっこよかったの」
「じゃあ、その人の弟さんかもしれないわね!」とfirst nameの母は言った。「お兄ちゃんが昔していたスタイルにあこがれて、マネするようになったとか!」
「うーん、それが、私もそう思って聞いてみたんだけど兄弟や従兄弟はいないんだって」とfirst nameは言った。「でも、たとえ血がつながった関係じゃなくても、例えば近所のお兄さんとかに、そういう人がいたのかもしれないから・・・もし心当たりの人がいたら教えて欲しいとはお願いしておいた。私がずっと【あの人】の事を忘れていないみたいに、もしかしたら東方君も【あの人】のことを知ってて、覚えてるかもしれないから」
「そうね!まあ、気長に待ちましょ♪そのうちふっと思い出して、教えてくれるかもしれないわよ」first nameの母は言った。「じゃあ、ママはそろそろ寝る準備をするね。first nameももう寝た方がいいんじゃないの?」
「そうだね!・・・と言いたいところだけど、私は寝る前にちょっと下で作業するね。金曜からの大量販売に間に合うように」
「わあ、大変そう。でもあんまり根詰めて無理しないでね。明日また起きられなくなるわよ」とfirst nameの母は笑った。「あ、ところでお菓子は鎌倉カスターと鳩サブレだったらどっちがいい?」
「鎌倉カスターがいい!夏だから」
「了解!じゃあ明日、K駅で買って夏ミカンと一緒に送りま~す」
「ありがとう!」
「はあい、じゃあ、お盆頑張ってね!オヤスミ!」
「オヤスミ!」
「はい、もしもし」
「もしもし、first name?ママだけどね」
「あっ、ママ!元気~?」
「うん、元気よ。お兄ちゃんも大福もみんな元気。お隣さんに夏ミカンをたくさん頂いたからfirst nameに送ってあげようかと思ってかけたの」電話の向こうでfirst nameの母は言った。おそらくあちらも夕食後なのだろう、テレビのバラエティ番組らしき音声や、ミャーオという大福の鳴き声と一緒に、くつろいだ夜のリビングルームの雰囲気が伝わってくる。
「ところで、調子はどお?お盆に来てくれるアルバイトの人は見つかった?」
「うん、見つかったよ!」first nameは笑顔になって言った。「今日ちょうど貼り紙を見て面接に来てくれて。みんなぶどうが丘学園の高校生なんだって」
「あら、よかったじゃない!」first nameの母も嬉しそうな声の調子になって言った。「みんなせっかく来てくれるんだから、ママその子たちに何か差し入れ送ろうかなあ。休憩時間に食べられそうなお菓子とか。ぜんぶで何人いるの?」
「4人!その場で3人決まったんだけど、人手がもっと必要ならもう一人友達誘いましょうか?ってみんなが言ってくれて、虹村君っていう人も増えたの。今日の夕方、その中の東方君っていう人がさっそく店に電話をくれて『4人で参加します』って教えてくれたの。多分帰ってすぐに聞いてくれたみたい」
「へ~、みんな優しいね!」first nameの母は言った。「アンタ良い時に良いところにお店だしたわね。きっとおじいちゃんとおばあちゃんが応援してくれてるのね~」
「うん、それは本当にそう思うよ・・・あっ、ねえねえママ!」
「ん?」
「私がもうずっと前に、このあたりで迷子になったの覚えてる?」とfirst nameは言った。「おじいちゃんのお見舞いにこっちに泊まりに来てた時。その時に私を助けてくれたお兄さんに、その東方君がそっくりなの!」
「え~、そうなの?」first nameの母は言った。「確かfirst nameのことを交番に連れて行ってくれた高校生ぐらいのお兄さんでしょ?その人のことならfirst nameが何回も何回も、何っ回も話してたから覚えてるよ。クレヨンで似顔絵まで描いてたわよね~。”すっごいかっこいいお兄ちゃんだった~!”って。え~、じゃあ、今日来てくれたその男の子がfirst nameの『あこがれのお兄ちゃん』なのかしら!?」
「私もそう思ったよぉ!”えっ、お兄ちゃん!?”って言いそうになっちゃった」とfirst nameは言った。「でも私、あの時まだ小2とかだよ?あれから10年・・・12年かな?経ってるのに、同じ人のわけないよね。でも、本当にそっくりだったの。髪型とか、ピアスとか、長い上着の学生服とかも」
「知ってる。長ランとか洋ランって言うんだよ、それ」
「ちょうらん?ようらん?それは、蘭の花じゃなく?」
「蘭の花じゃなく、長い学ラン、略して長ラン。それにドカンをあわせる」
「どかん?」
「改造学ランが好きな子のなかでも、長ラン派はドカンっていう、幅広のズボンをはくことが多いの。短ラン派はボンタンっていう、裾が細くなってるズボンをはく子が多いわね。それとfirst name画伯も描いてた髪型、あれは、リーゼントっていうのよ。前髪はぎゅーっと引っ張り気味にヘアドライヤーで乾かして、そこからポマードで高く盛り上げてサイドの髪は後ろにコームで流す」
「へえ~!さすが美容師、よく知ってるね~」
「まあ、こっちのあたりは特にその手の文化のメッカだからねー。初めてオーダー受けた時は、それなんですか!?ってビックリしたわよ」とfirst nameの母は笑った。そして、「でもああいう子たちって見た目は怖いけど、話してみると優しかったり、情に厚かったりするのよね。困ってる人を当然のように助けたり・・・なぜか結婚や出産がやたら早かったり」と言ってまた笑った。「やっぱり、とにかく目立つ特徴があの手のイカツイ髪と学ランよね。改造学生服を専門に扱ってるお店だってあるのよ。ボタンとか刺繍の飾りとか・・・今日の、えーっと、ヒガシカタ君?も、きっとそういうスタイルしてたんでしょう?」
「してたしてた!まさに【あの人】みたいだったよ。何か雰囲気やしぐさも似ていた気がする。すごくかっこよかったの」
「じゃあ、その人の弟さんかもしれないわね!」とfirst nameの母は言った。「お兄ちゃんが昔していたスタイルにあこがれて、マネするようになったとか!」
「うーん、それが、私もそう思って聞いてみたんだけど兄弟や従兄弟はいないんだって」とfirst nameは言った。「でも、たとえ血がつながった関係じゃなくても、例えば近所のお兄さんとかに、そういう人がいたのかもしれないから・・・もし心当たりの人がいたら教えて欲しいとはお願いしておいた。私がずっと【あの人】の事を忘れていないみたいに、もしかしたら東方君も【あの人】のことを知ってて、覚えてるかもしれないから」
「そうね!まあ、気長に待ちましょ♪そのうちふっと思い出して、教えてくれるかもしれないわよ」first nameの母は言った。「じゃあ、ママはそろそろ寝る準備をするね。first nameももう寝た方がいいんじゃないの?」
「そうだね!・・・と言いたいところだけど、私は寝る前にちょっと下で作業するね。金曜からの大量販売に間に合うように」
「わあ、大変そう。でもあんまり根詰めて無理しないでね。明日また起きられなくなるわよ」とfirst nameの母は笑った。「あ、ところでお菓子は鎌倉カスターと鳩サブレだったらどっちがいい?」
「鎌倉カスターがいい!夏だから」
「了解!じゃあ明日、K駅で買って夏ミカンと一緒に送りま~す」
「ありがとう!」
「はあい、じゃあ、お盆頑張ってね!オヤスミ!」
「オヤスミ!」