(※全小説共通です)
序章 あるいは、太陽と向日葵
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「・・・へ~、シェフもイタリア人かぁ。美味しそうだねぇ」
「お墓参りに来たついでに『ランチ』をして帰るのもいいわよね~。あなたは食べたことあるの?」
「「はい!ランチもディナーも食べましたけど、すっごく美味しかったですよ♡」
「歯が弱い年寄りでもイケるかなぁ」
「その人の体に合った料理を出してくれる店なんですよ。だからきっと大丈夫・・・」
カランコロンというドアベルの音に混じって、なんだか楽しそうな会話をしながら現れたのは、お年寄りのご夫婦ふたり連れ。そしてお店の中からふたりのためにドアを開けて押さえているお姉さんだった。
おばあさんはおじいさんの腕につかまり、おじいさんは花束を持っている。お姉さんは、横にどいて通路をあけたぼくたちに気づくと、目で(ありがとうございます♪)というような仕草をしてくれた。(怖い人じゃなさそうでヨカッタ!)
「ここはバス停も近いし助かるわ。また来るわね♡」
「ありがとうございます♡お気をつけて!」
おじいさんとおばあさんはぼくたちに会釈をすると、慎重な足取りでポーチの階段をゆっくりおりた。そして、道路の向かいの霊園のほうへ寄り添って歩いていった。
振り返るとさっきのお姉さんが、ドアのところにもたれて立っていた。・・・・・・見た感じ、ぼくの姉と同じくらいの年頃だろうか?華奢で可愛らしい感じの人だ。
袖もスカートもちょっと長めのふわっとした黒いワンピースに白いエプロン姿。エプロンも袖のないシンプルなワンピースみたいな形をしている。まるで黒と白のワンピースを2枚重ね着しているみたいで一見奇妙な組み合わせの服装だけど、そこがかえってお伽話のヒロインめいた不思議な魅力を醸し出していた(ぼくは左右の翅の先端にほんのり黒い色のふちどりと、2つか3つのほくろのようなちいさな斑点を持っているモンシロチョウをなんとなく思い浮かべていた)。
その人はちょっと・・・いや、かなりビックリした目で、仗助君と由花子さんとぼく、そしてまた仗助君(の、主に髪型)をじっと見ていたけれど、やがてニッコリと明るく微笑んだ。まるで太陽に向かってパッと咲いたヒマワリのようなステキな笑顔だった。
「こんにちは、いらっしゃいませ!」
(そして私はもっともっと)(好きになる)
(あなただけを)
(好きになってしまう・・・?)