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序章 あるいは、太陽と向日葵
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「よお~、康一に由花子じゃあねーか。何やってんだよ?そんなとこで」
のらりくらりとした歩き方で、ぼくたちの通う「私立ぶどうが丘高校」の方角からやってきた東方仗助君は言った。
仗助君は不良そのものといった風貌と、いちど切れたら止まらない性格のせいでS市じゅうの暴走族にも恐れられている人だけど、実際はとても気さくで優しく、顔や雰囲気なんかもカッコ良くて、女の子にもモテる存在だ。
「仗助君!あれ?学校行ってきたの?」
「ああ、成績表取りに来いって家に電話かかってきてよ~、今行ってきたんだよ」
「そっかぁ、きみ、ちょうど入院してて終業式に出られなかったもんね」
そうだ、あの朝、仗助君も吉良吉影との闘いで大怪我をしたんだった―――――お腹と脚に大きな木片が突き刺さって、全身血だらけで緊急搬送されていった時の痛々しい姿を、あらためてぼくは思い返していた。
退院後もしばらく仗助君は片足をひきずって歩いていたし、顔にはあちこちバンソウコウが残っていたっけ。
ともあれ、自分で自分を治せない仗助君がこうして無事に回復して、元気な姿で目の前に立っているのを見るのは嬉しかった。
「で、何やってんだよ?そこで」
仗助君に今いちど問われ、ぼくはドアガラスの貼り紙を指さした。
「これなんだけど。ぼくたち、この内容について、お店の人に話を聞いてみようかと思ってて・・・でもまだ、ちょっと迷ってるんだよね・・・」
ぼくが口ごもりながらそう言うと、仗助君は「どれどれ?」という表情でその貼り紙を覗き込んだ。
「『短期アルバイト募集』~?へー、お前ら、バイトなんてすんのかよ~」
「うん、そこなんだけど」
と、ぼくは言った。
「ぼくたち・・・ぼくと由花子さん、『携帯電話』が欲しくてさ、夏休み中だけ出来るアルバイトがあればいいのにねって話してたんだ。ぼくの親、携帯を持つことにあんまり良い顔しないから・・・休みの間に、『端末代』だけでも自分で稼いだって言えば、話が通じやすくなるかなぁ~って思って・・・」
「携帯電話なぁ~。確かに俺も欲しいけどよぉ~」
と、仗助君。
「しかし、これはいったい何のバイトだ?見たところ花屋みてーな店だけど。つーか、こんなとこに花屋があったのか?一体いつの間に出来たんだ?」
「そうなんだよね・・・ぼくたち花屋のバイトなんてしたことないし、どんな事すればいいのかわからなくて。でも日給も良いし気になっててさー・・・」
と、ぼくがそこまで話した時、仗助君は「おっ!本当だぜっ!」と言って、貼り紙の方へ身を乗り出した。
「1日1万円かぁ!9時から17時ってことは、え-と・・・時給にすると1200円以上ってことかァ~。おい、かなり良いバイトなんじゃねーか!?こりゃあよお~~っ!!」
「だよねえ~~~っ!!!!」
ぼくは全力であいづちを打った。それもそのはず、1999年現在、M県内の平均時給は607円なのである(厚生労働省調べ)!!
「よかったら東方君も一緒にやらない?経験不問って書いてあるし、あたしたち2人も未経験だし、仲間がいたら心強いわ」
と、これは珍しく由花子さん。
「あっ、それいいね~!賛成っ!!」
「んー・・・けど、花屋かぁ~、やっぱちょっとカッタるくねーか」
と、仗助君は急にあからさまに面倒そうだ。『ジョジョの奇妙な冒険第4部・ダイヤモンドは砕けない』の主人公の勤労意欲は思ったより砕けやすいのだろうか。
「内容が全然わかんねーよ、花を扱う仕事なんて」
「じゃあさ、まずは一緒にお店の人に話を聞いてみない?」
ぼくは食い下がってみた。
「聞くだけ聞いてみて、嫌ならやめればいいんだし。ねっ?」
「う~~ん・・・・・・ま、いいか!わかったよ!俺も欲しいもの色々あるし、話を聞くだけなら、付き合うぜ!」
「本当!?やったねっ!!!」
めでたく話がまとまった時、ちょうどタイミングよくドアが開き、お店の中から人が出てきた。
のらりくらりとした歩き方で、ぼくたちの通う「私立ぶどうが丘高校」の方角からやってきた東方仗助君は言った。
仗助君は不良そのものといった風貌と、いちど切れたら止まらない性格のせいでS市じゅうの暴走族にも恐れられている人だけど、実際はとても気さくで優しく、顔や雰囲気なんかもカッコ良くて、女の子にもモテる存在だ。
「仗助君!あれ?学校行ってきたの?」
「ああ、成績表取りに来いって家に電話かかってきてよ~、今行ってきたんだよ」
「そっかぁ、きみ、ちょうど入院してて終業式に出られなかったもんね」
そうだ、あの朝、仗助君も吉良吉影との闘いで大怪我をしたんだった―――――お腹と脚に大きな木片が突き刺さって、全身血だらけで緊急搬送されていった時の痛々しい姿を、あらためてぼくは思い返していた。
退院後もしばらく仗助君は片足をひきずって歩いていたし、顔にはあちこちバンソウコウが残っていたっけ。
ともあれ、自分で自分を治せない仗助君がこうして無事に回復して、元気な姿で目の前に立っているのを見るのは嬉しかった。
「で、何やってんだよ?そこで」
仗助君に今いちど問われ、ぼくはドアガラスの貼り紙を指さした。
「これなんだけど。ぼくたち、この内容について、お店の人に話を聞いてみようかと思ってて・・・でもまだ、ちょっと迷ってるんだよね・・・」
ぼくが口ごもりながらそう言うと、仗助君は「どれどれ?」という表情でその貼り紙を覗き込んだ。
「『短期アルバイト募集』~?へー、お前ら、バイトなんてすんのかよ~」
「うん、そこなんだけど」
と、ぼくは言った。
「ぼくたち・・・ぼくと由花子さん、『携帯電話』が欲しくてさ、夏休み中だけ出来るアルバイトがあればいいのにねって話してたんだ。ぼくの親、携帯を持つことにあんまり良い顔しないから・・・休みの間に、『端末代』だけでも自分で稼いだって言えば、話が通じやすくなるかなぁ~って思って・・・」
「携帯電話なぁ~。確かに俺も欲しいけどよぉ~」
と、仗助君。
「しかし、これはいったい何のバイトだ?見たところ花屋みてーな店だけど。つーか、こんなとこに花屋があったのか?一体いつの間に出来たんだ?」
「そうなんだよね・・・ぼくたち花屋のバイトなんてしたことないし、どんな事すればいいのかわからなくて。でも日給も良いし気になっててさー・・・」
と、ぼくがそこまで話した時、仗助君は「おっ!本当だぜっ!」と言って、貼り紙の方へ身を乗り出した。
「1日1万円かぁ!9時から17時ってことは、え-と・・・時給にすると1200円以上ってことかァ~。おい、かなり良いバイトなんじゃねーか!?こりゃあよお~~っ!!」
「だよねえ~~~っ!!!!」
ぼくは全力であいづちを打った。それもそのはず、1999年現在、M県内の平均時給は607円なのである(厚生労働省調べ)!!
「よかったら東方君も一緒にやらない?経験不問って書いてあるし、あたしたち2人も未経験だし、仲間がいたら心強いわ」
と、これは珍しく由花子さん。
「あっ、それいいね~!賛成っ!!」
「んー・・・けど、花屋かぁ~、やっぱちょっとカッタるくねーか」
と、仗助君は急にあからさまに面倒そうだ。『ジョジョの奇妙な冒険第4部・ダイヤモンドは砕けない』の主人公の勤労意欲は思ったより砕けやすいのだろうか。
「内容が全然わかんねーよ、花を扱う仕事なんて」
「じゃあさ、まずは一緒にお店の人に話を聞いてみない?」
ぼくは食い下がってみた。
「聞くだけ聞いてみて、嫌ならやめればいいんだし。ねっ?」
「う~~ん・・・・・・ま、いいか!わかったよ!俺も欲しいもの色々あるし、話を聞くだけなら、付き合うぜ!」
「本当!?やったねっ!!!」
めでたく話がまとまった時、ちょうどタイミングよくドアが開き、お店の中から人が出てきた。