今日も今日とて彼女は僕の元へ来る。


来るというか＿＿来ていた。2分前くらいに。


頼むから教室の前で待ち伏せしないでくれ、周囲の目が僕に突き刺さるんだよ。

しかしそんな事を言った所で無駄なので、僕のストレスは増していく。

『ちわっす先輩。相変わらずぼっちですね。』

「会って早々喧嘩売ってきやがった。」

『ですから、私は先輩を一人にはしませんよ！』

「余計なお世話だ。」


落ち着け僕、こんな事で＿＿いや、全然"こんな事"ってレベルじゃないのだが。あと2日だ。そう、あと2日。今日も含めて＿＿


＿＿＿ん？


そこでふと思った。僕の前に立つこいつの顔を見ると、バッチリと視線が合う。


『あら、見蕩れちゃいました？先輩もようやく私の魅力に気づいたみたいですね。』


＿＿＿そうか。コイツ、もうすぐ死ぬのか。


何も言い返さない僕を不審に思ったのか、こいつは僕の顔を覗き込んだ。眉間に皺が寄っている。おいおい、近過ぎるだろ。もう少し離れろ。


『先輩？どうしました？』


そう言うこいつは焦っていて、珍しくいつものポーカーフェイスが崩れている。


＿＿僕の心配より、自分の心配しろよ。


焦り顔のこいつを見て、そう思う僕がいた。


「＿＿なぁ。」

『はい？』

「お前はさ、」

『はい。』

「＿＿本当に、死ぬのか？」

『はい、死にますよ。』


あまりにもサラッとした言い方だった。
それは、その事実がこいつにとっては重要じゃないからなのか、なんなのか。


『え？もしや先輩、心配してくれてます？』

「うん。」

『えっ』と小さく声を出して驚いているこいつに、今日は表情がよく変わるな、と思った。


『＿＿今日の先輩、なんか可笑しいですよ。』

「何？気持ち悪いってか？」

『いえ、どんな先輩でも大好きです。』

「あっそ。てか否定しろ。」

『＿＿＿』

「おい。」